姉が好きなアイドルグループ。 そのコンサートに一緒に行くはずだった友人が行けなくなり、急遽呼ばれたのが俺だった。 たいした期待もなかった。 だって、CMだってよく見掛けていたし、出演する番組も姉が観ていたのを隣で眺めていた。 特番だってそう。 姉の部屋にはポスターに団扇。 知っていると思い込んでいた。 思い込んでいたことにすら、気付けなかった。 だから、はじめて知ったんだ。 本物のアイドルの“キラキラ”を。 いつもの国民的な姿はほんの１部でしかなかったことを。 能ある鷹は爪を隠すなんてもんじゃない。 もう釘付けだ。 たった５人で、ドームを埋め尽くす沢山の人達をとびっきりの笑顔にしている。 どこを見ても笑顔。 姉も、隣の人も、前の人も後ろの人もみんなキラキラした笑顔だ。 だけど、もっとキラキラしている人達がいる。 俺は、ステージの上のアイドルから目を離せなくなった。