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第17話 伸ばした手※
僕に覆い被さって、あり得ないのに立花さんとの二人寝に文句を言う茂人さんの眼差しに、僕は縫い付けられてしまっていた。僕でも分かる情熱を感じるその眼差しに、息をする事も躊躇われた。
僕はそれこそ息を殺して、覆い被さって来た茂人さんの頬に指先を伸ばして触れると囁いた。絞り出した声は緊張と興奮で掠れてしまっていた。
「…キスして。茂人さんにキスされてから、僕おかしいんです。茂人さんにもう一度キスされたくて、そればっかり考えてしまって。茂人さん、僕に何かしたんですか。」
すると茂人さんは嬉しげに、でも少し意地悪く微笑んで呟いた。
「…楓君を蕩けさせたら、俺の事もっと好きになってくれるかな。俺、楓君を離せなくなるかもしれないけど、大丈夫?」
そう言うと、僕の返事を待つ事なく茂人さんの唇は僕を覆った。柔らかで優しかったのはほんのちょっとの間で、気づけば僕の唇はやっぱりこじ開けられて、茂人さんのほんのりミントを感じる舌が、僕の口の中の粘膜をなぞっていた。
誘う様に僕の舌をくすぐられて、僕は茂人さんに習う様に舌を伸ばした。一緒に絡め合うのは、何とも官能的で、僕は背筋がゾクゾクもしたし、自分がすっかり昂ってしまっているのに気づいた。
自分の身体が目覚めてしまったのを恥ずかしく思わなかったのは、茂人さんに押し付けられた下半身もまた、硬くなっているのを感じたせいだろうか。
気づけば僕のスエットの下に茂人さんの手が滑り込んでいて、僕の感じた事の無い胸を撫で回されていた。僕の身体をなぞる様に触れる茂人さんの指先が、胸の一番敏感な場所を引っ掻いたと思えば遠ざかって、また背中や脇を撫で回した。
離れる茂人さんの舌を、追いかける様に突き出した僕の舌を甘噛みすると、茂人さんはおもむろに僕に跨ったまま起き上がると、厚手のスエットを脱いだ。想像以上に鍛えられた筋肉が目の前に現れて、僕はすっかり見惚れていた。
「熱くなっちゃった。ね、楓君の嫌がることは絶対しないから、…脱がせても良い?」
僕がぼうっとしながらも頷くと、嬉しげな茂人さんは僕のトップスとボトムスをサッと脱がせた。下着だけの姿にされて、僕は恥ずかしさに横を向いてしまった。自分のあそこが張り詰めているのがわかるので、居た堪れなかった。
けれど、茂人さんは嬉しげに僕の頬から、耳、首に指や唇で触れたり、舌で舐めたりしてじわじわと僕を責め立てた。首に唇を押し付けられると、じっとしてられなくて、思わず呻いた。
でもそれは聞いたことの無い甘えた様な声で、僕は思わず口元を手で覆った。茂人さんは覆った手の甲にキスして言った。
「…聞かせて。楓君の感じる声、凄い興奮する。」
それはいつもの柔らかい声じゃなくて、欲望の滲んだ生々しいトーンの声だった。僕はその声に魅了されて、自分から茂人さんを引き寄せてキスを強請った。
直ぐに落ちて来たキスを交わしながら、僕達の痛いほど張り詰めたそれを、茂人さんがゆっくりと押し付け合って揺さぶるのを感じた。時々強く擦り付けられて、気持ち良さに呻いた。茂人さんが僕に興奮してくれているのも、嬉しくて堪らなかった。
茂人さんが僕の胸にキスし始める頃には、僕の下着は自分でも濡れてるのが分かるくらいで、僕は思わず腰を動かして茂人さんの硬いお腹に昂りを押し付けて擦り付けた。
執拗に弄られた胸の先も、今は疼いて焦ったい。そこを舐めたり突いたり、そしていやらしい音を立てて吸い付きながら、茂人さんは僕の股間に手で触れた。
下着越しだというのに、その気持ち良さに思わず甘く喘いでしまった。自分以外の誰にも触れられた事の無いそこは、茂人さんの繰り出す優しくも追い立てる様な手つきに、ビクビクと喜んだ。
「あ、あぁっ、茂人さんっ、だめっ。」
一気に高まった僕が背中を反らすと、茂人さんは動かしていた手を止めて僕から下着を取り去った。感じたことの無い快感にぼんやりしていると、いつの間にか裸になっていた茂人さんが、僕に跨ったまま気持ち良さげに自分の昂りをゆっくり扱いた。
目の前の、美しい筋肉質の身体に見合わない猛々しいそれは、羨ましい様な、怖い様な、複雑な感情を連れてきた。そんな僕に苦笑した茂人さんは、指先で優しく胸を押し潰して僕を呻かせると囁いた。
「…今日は怖がる様な事はしないから、一緒に気持ち良くなろう。」
そう言うと僕の昂りと自分のそれを合わせて、ゆっくりと動き出した。ヌルついた茂人さんの大きなそれで生々しく擦られて、僕は目を開けていられない。ヌチヌチと部屋に響くいやらしい音にも煽られて、僕は気持ち良さに身体を締め付けられる様だった。
「楓君て濡れやすいね…。凄い感じてる。楓君色っぽくて、俺も直ぐ逝っちゃいそう…。」
そう甘く囁かれて、僕は張り付いた瞼を開けて、目の前のギラついた眼差しの茂人さんを見つめた。ああ、文字通り僕は茂人さんに食べられるのかも。それは茂人さんへの気持ちに胸がいっぱいになった瞬間だった。
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