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「⋯⋯ですが最近、それらの問題も解決の兆しが見えてきましたね。あの出会いから一緒になりたいと思えるような人のおかげで」 優しげに微笑む。 はっきりと名前をしたわけではないが、その抽象的な表現でもいくら察しの悪い御月堂であっても充分に分かったことだった。 最初は仕事関係として出会い、ただ言われた通りの仕事を全うしてくれれば良いと思っていた。 しかし、それでは駄目だと松下に言われ、渋々といった形で会いに行った。 それがきっかけで、それを少しずつ重ねていくうちに、自ら会いたいと思えるようになっていった。 今、その気持ちは、あの時以上に膨れていった。 話したい。触れたい。遠慮がちでありながらもはにかんでいるような表情を見たい。 「今、考えていらっしゃいますね?」 「⋯⋯悪いことではないだろう」 「咎めているわけではありません。むしろ、そのような表情をして頂きますと、他の秘書の人達が滞りなく仕事しやすくなっていき、果ては私の愛する我が子をこの目で見れる機会が増えますので」 「前向きに検討しておく」 元はと言えば、自分から言ったことだ。それに松下はよく気が利いて働いてくれる。そのぐらいのご褒美を与えてやらねば。 自分もいつしかそのように会いたいと思えるほど気持ちが傾くのだろうか。 愛したいと思える相手が愛情持って接したい子どもであるから、同じように接したいが、どうもあちらはそのような気がなく、敵意剥き出しだ。 仕方ないことだ。母親があまりにも美しく、誰の目にも止まらせたくはないのだろう。その気持ちは分からなくもない。 いつになるかは今は見当もつかないが、いつしか子どもの方も。 そんならしくもない夢物語を描きながら、一番に愛し合いたい相手といつ会えるかと思いながらも、一番に信頼できる秘書と共に今目の前の仕事に励むのであった。

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