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大河が大好きな『ハニワのだいこうしん!』をソファに座って一緒に観ていた。
正確には座っている姫宮の膝に大河は頭を預けたり、うつ伏せになったりとゴロゴロしていた。
今は大好きなアニメを観るよりも他に楽しみなことがあって、それが待ちきれなくて落ち着かないのかもしれない。
「大河、観ないの?」
そう声を掛けると、観てる!と言いたげに目線をテレビに向けた。
「どうせ観てないんだから、わたしにテレビを貸してくださいよ。大きい画面で観たいんですよ、こっちは」
大河とは反対側にいる携帯端末で観ていたらしい小口がそう言ってくる。
最初、小口も姫宮の膝に頭を乗せて寝そべっていたが、すかさず大河が頭を、これでもかと殴るものだから、今はソファに仰向けでいた。
小口が半ば本気らしい、テレビで観たいと言っているのは恐らく、今携帯端末で観ている動画なのだろう。
時に24時間寝ずに過ごしたり、時にゲーム配信というものをしていたり、時に水槽いっぱいに入った調味料を1週間以内に食べ終わらせないといけないという、そんな動画を投稿しているチャンネルだった。
小口に勧められたのもあって、姫宮はなんでもいい、少しでも興味を持てるきっかけになればと観たことがあったが、面白く感じられた。
姫宮が観たのは、カードサイズに切った紙に手書きで、あいうえお順に一枚に一文字ずつ書いていき、それをカードを切る要領で混ぜ、そして混ぜた後、床に適当にばらまいたその紙から一枚選び、その選んだ文字から始まる食べ物を食べるという動画だった。
動画内に出ている人達が、ある人は自身が引いたカードの文字から始まるものではない食べ物を買ってきて、他の人達に鋭い突っ込みをされていたり、またある人は何故か手当り次第買ってきて、食べる際に時間制限があるのだが、その大量の物を食べきれずに、最後の悪あがきで無理やり詰め込み、まるでハムスターの頬袋のようにパンパンになった様に驚かされたものの、ゆっくりと咀嚼している姿に大丈夫なのかなと心配したりもしたが、その点も面白く思えたところだった。
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