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「大河様、伶介様が来るのを楽しみにしていたのですよ」 「そうなんですか! えへへ、うれしいな〜」 何か言いたげに見ていた大河の手を取った伶介は、左右に振って、喜びを示していた。 恐らく、大河が言いたかったのは、安野が代弁していたことだろう。大河もぼくもそうだというように腕を大袈裟に振っていたようで、伶介が声を上げて笑っていた。 姫宮も玲美と話すのを兼ねて二人の様子をそばで見ようと、そばに寄った。 「伶介。大河君に会えて嬉しいと思うのはいいけど、大河君にあげるお土産がぐちゃぐちゃになっちゃうよ」 「あ、そうだった!」 声を上げた伶介にどうしたのかと大河も一緒になって手を振るのを止めた。 「たーちゃんにあいたかったのもあったのだけど、たーちゃんにおみやげがあるんだ」 伶介は持っていた袋を掲げた。 見るとそれは、様々な種類の魚が描かれたものだった。 あれから連絡先を交換した玲美からの文にそこに行った旨があったので、姫宮は分かっていたが、大河は首を傾げていた。 「これ、あげるね」 はい、と渡された物を何が分からずももらうものの警戒しているようで、伶介とそのお土産を交互に見ていると、「あけてみて」と促した。 警戒心が解けないまま、大河は袋から取り出した。 袋に描かれていたような魚と『お魚クッキー』と書かれていた。 「ままとすいぞくかんにいってきたんだ」 さっきよりも首を傾げていた。 恐らく、『水族館』というものが分からないのだろう。 なるべく外に行かせない生活を強いてしまったために、伶介と同い歳であるのに当たり前に知っていることを知らずに過ごさせてしまっている。 なんて親なのだろうと自身を責めながらも姫宮は言った。

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