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「あの、たーちゃんまま! たーちゃんといっしょにすいぞくにいってもいいですか!」
「え、あ⋯⋯私は構わないけど⋯⋯」
伶介の勢いに押されていた姫宮はおずおずと返事をした。
それを聞いた途端、伶介はぱぁと目を輝かせた。
「ありがとうございます! やったね、たーちゃん!」
手を取り合って──実際には大河が片手にお土産を持っているため、片手だけであったが──小躍りしていた。
大河も心なしか喜んでいる様子に小さく笑んでいた。
「うちの伶介が無理言って、すみません」
「あ、いえ。大河も前々から行きたがっていたので、こちらこそご迷惑をおかけします」
「いえいえっ、迷惑だなんて! それに伶介が無理やりでも誘ってくれて良かったと、正直思うところもあります」
「え······?」
驚いた顔をしていると、玲美は笑った顔を見せた。
「私も姫宮さんと一緒に水族館に行きたかったんです。······でも、難しいかなと思っていたので」
それは姫宮達が嫌な目に遭い、外に出るのを控えていることを指しているのだろう。
御月堂の秘書であり、玲美の旦那である松下から色々と事情を聞いているのだろうその意味深げな言い方に、されど玲美の気遣いを感じられた。
「私もいつまでも家に篭っているわけにはいかないと思っていました。ですが、なかなかその一歩を踏み出せなくて······。ですので、そのきっかけを与えてくださってありがとうございます」
「そんな、お礼を言われるほどでは······! ですけど、嬉しいです」
忙しなく自身の前で手を振っていた玲美は、はにかんで見せた。
そんな表情につられて、姫宮も笑った顔を見せる。
「お話の最中、失礼します」
不意に少し遠くのところで見ていた安野が口を挟んだ。
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