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「大変盛り上がっているところに水を差す言い方になってしまいますが、四人で行かれるのは難しいと思われます」 え、と誰かの声が漏れた。 しかしすぐにですが、と安野は続けた。 「条件付きであれば、許しが出るかと思われます。一番の脅威からの可能性が低いとはいえ、新たな脅威に襲われる可能性があると思われますので。あのお方も気が気ではありませんでしょう」 「もちろん、私も気が気ではないのですけど!」と大きな私情を挟む安野を、ほほ聞いていない姫宮はその‘’あのお方‘’のことを思い浮かべる。 常に多忙の身である彼は、一緒に水族館に行くことはおろか、近所でも叶わないだろう。 それでも仕事の合間でも会ってくれる彼の優しさは同時に、姫宮達のことを心配している。今回のように、特に外に出る時は。 そういうささやかなことでも少なからず愛されているのだと感じられる。 これ以上、彼の心配の種を撒いてはならない。 「まぁ、そうですよねぇ。どちらにしても心配させてしまいますよね。そうですよねぇ」 ふふ、と堪えきれないといった顔をする玲美が、安野が言いたいことが分かったのだろう反応に、頬を染めた。 「とにかく、そういうことですので、ご了承ください。ですが、安全は多少なりとも保証されると思いますので」 「当日は楽しんできてくださいね」と添えた安野の表情は、にこやかであった。

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