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7.
水族館に行く日を迎えた。
大河はこの日が待ちきれなく、特に前日は興奮してなかなか寝てくれなく、相手をしているうちに姫宮の方が先に寝てしまっていたが、少しでも寝てくれただろうか。
玲美と伶介がやってきて、玲美の話を聞きつつも、伶介が大河に話している様子を見ながら一抹の不安を抱えていた時。
「御月堂様の命より馳せ参じました! 袋田です! 姫宮様と大河様はまたぶりっすね!」
安野が迎えに行った人物がリビングに入ってくるなり声高らかに挨拶をしてきた。
その元気いっぱいな相変わらずのテンションに、姫宮はやや引きつった笑みをし、大河は嫌そうに姫宮の後ろに隠れ、玲美と伶介はぽかんとしていた。
そういえば、二人は袋田に会ったことがなかったかと思っていると、袋田は二人の方へ向いた。
「初めまして! 運転手兼皆さんの護衛を勤めさせて頂きます! 袋田です!」
「······松下玲美、です。夫は御月堂様の秘書を勤めています···⋯」
「ああ! 松下さんの! 会う度に『元気いっぱいで私にも分けて欲しいですね』と言われるんですけど、ダンナさん元気ないんっすか?」
「そういうわけではないかと。ただ、袋田さんの元気に圧倒されているのだと思います」
「そッスか! それはなにより!」
歯を見せて笑う袋田に、玲美も姫宮と似たような引きつった顔で返していた。
袋田はその顔のまま、今度は伶介に向けた。
「こちらはお子さんですか?」
「はい、そうです」
「まつしたれいすけです。きょうは、よろしくおねがいします」
「わっ、パパと同じように挨拶してくれるじゃん! めっちゃ礼儀正しい⋯⋯」
一種の感動を覚えているようで、「うわー⋯⋯うわー⋯⋯」と言いながら、伶介のことを眺めていた。
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