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御月堂side 2
しかしそれは同時に、そう思うほどあの二人のことを愛し、守りたいと思っていることだ。
姫宮に出会わなかったら思わなかった感情。最初のうちは自分にこのような感情が芽生えるとは思わなく、戸惑ったものだったが、愛したいと思えば受け入れられるものだった。
「しかし、やはり今回も袋田に任せておいて正解だったな。口は軽くとも腕は確かだからな」
「ええ、そうですね。『あの時弟子入りさせてくれと急に言われた時はびっくりしたが、意外と根性があって、鍛え甲斐がある』と仰ってましたもんね。⋯⋯少々元気が過ぎますが」
「⋯⋯そうだな」
ふっと、口元を緩める。
経験が浅い若者だと侮ってはならないとつくづく思う。だから、口調に関しても大目に見ているつもりだ。大目に。
皿に盛り付けてあったクッキーを手に取り、眺める。
「⋯⋯水族館か。私もいつかは一緒に行きたいものだ」
「ええ、そうですね。その時は私の妻子もご一緒させていただきますね」
「⋯⋯賑やかになるな」
とはいえ、立場上なかなか実現が不可能なものだ。
それこそ、また姫宮達に危険が及ぶかもしれない。
そうならないよう、何か策を考えねば。
嫌な思いをさせず、安心できる場でゆっくりと共に見守りたい。
姫宮は控えめながらも楽しそうにしてくれるかもしれない。大河が嫌がることは確実だが、母親が行くとなれば渋々ついて行くのだろう。
すぐに懐くなんて思ってない。だが、少しでも気が向いてくれればと思う。
水族館に一緒に行くことよりもそちらの方を優先せねばと思いながらも、いつか実現したいと夢見つつ、もらいものを食すのであった。
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