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Cp7.護×直桜『唯一の魔酒③(直桜目線)』

 梯子のような階段を昇りながら、直桜は自分の体が火照っているのを感じていた。  まるで多すぎる神力に中てられている時のような感覚だ。体の敏感な部分が、やけに気持ちがいい。  乳首や男根が服に擦れると、体が反応する。 (なんでだろ。変なの。梛木に渡された御神水のせいかな)  一時的に神力を増やす水らしい。 「直桜には必要ないじゃろうな」と言いながら、一応くれた。  それを今朝、朝食の後に飲んだわけだが。 (そういえば、護はなんであんなに焦ってたんだろう。御神水の話は、してなかったからかな)  13課に長く在籍している護なら旧正月の儀式そのものは知っているだろうが、今年、直桜が惟神として関わる説明はしていない。  要が話していた通り、各部署の統括にキスして回るようなものだからと、清人が内緒にしていた。  急な階段を昇りきって顔を出すと、開がいた。  椅子に掛けて仕事をしていた開が、足元の直桜を眺めている。 「まさか、ここから来るとは思わなかったなぁ。要の入れ知恵? もしかして化野くんの追跡を躱してる?」  開が直桜の手を引いて部屋の中に引き上げてくれた。  どうやら室長室と思われる部屋は、開が一人で使っているらしい規模だった。 (要の統括室と開さんの室長室が繋がってるのって、どうなんだろう)  閉はどう思っているのだろう。そもそも知っているのだろうか。  開と閉と要の関係は複雑すぎて、直桜にはまだうまく理解できない。 「護に見付かったら反対されそうだから、こっそり回ってるんだ。木札と祝福を与えに来たよ。閉さんは、来れる?」 「今、コールしたから、すぐに来ると思うよ」  手元の医療用携帯で連絡していたらしい。その辺りは一般の病院と同じなんだなと思った。  デスクより部屋の中央にあるソファに隣り合って腰掛ける。  バックから木札を取り出し、口付けて神力を流し込む。  開に手渡した。 「確かに受け取りました。あとは、俺と閉が祝福を受け取るんだよね? 左手の薬指だっけ?」  差し出された左手に触れる。  途端に、意識がぼんやりした。 「うん、そう……」  開の肩に手をかけて、顔を近付ける。  唇を押し付けて、舌で割り開くと神力を流し込んだ。  開の肩が、ビクリと震える。 「こんな感じで神力をね……、アレ? 俺、今、開さんにキスした?」  ソファに腰掛ける開の膝に、直桜はいつの間にか座っていた。  肩に手をかけて、まるで抱き合うような姿勢になている。 「キス、しちゃったね。化野くんに叱られちゃうよ。けど、こんな顔されたら、もう一回くらい、したくなっちゃうな」  開の目が蕩けている。いつもの開じゃない。  頭の後ろに手を添えて、開の手が直桜の髪を弄ぶ。  気持ちが良くて、自分から顔を寄せた。 「じゃ、もう一回、祝福、流すね」  唇を重ねたら、開の舌が直桜の口内に入り込んできた。舌を絡めて強く吸われる。開が吸うのに合わせて、神力を流し込む。  開の顔が熱くなり、股間が硬くなるのが分かった。 (開さんのキス、気持ちぃ……)  かちゃり、と室長室の扉が開いた。  キスしている直桜と開と目が合った閉が、固まっている。 「閉、こっち、おいで」  開に手招きされる前に、閉が思いっきり扉を閉めて鍵まで閉めると、二人にずかずかと歩み寄った。 「何してるんだ、兄さんも瀬田君も。木札と祝福を分け与えに来たんじゃないのか?」  いつも冷静な閉の声が明らかに怒っている。怒っているし、戸惑っている。 「今日は閉にも祝福を分けてくれるんだよね?」  開の問いかけに、直桜は頷いた。  腕を伸ばして閉の白衣の襟を掴んだ。 「閉さんは回復治療室の纏め役で実質の副室長だからって、清人が」  言葉が終わらないうちに閉の唇に吸い付く。  半開きの唇から、強い神力を流し込んだ。  ビクン、と大きく震えた閉の体がソファに倒れ込むように腰掛けた。 「もう少し、流すね」  両頬を包み込んだ閉の顔が、開と同じように蕩けている。  小さく頷いたのを眺めて、唇を重ねた。  後ろから開が直桜の体を抱き締めて、首筋に吸い付いている。  肌に触れる感触が気持ちが良くて、男根が硬くなる。 「ぁ……、ん、ふぁ……もっと、欲し……ぃ」  口内に舌を差し込んで、くちゅくちゅと舌を絡める。  閉が声を漏らすのが気持ち良くて、上顎を舌で擦る。  気持ちよさそうに顔を蕩けさせる閉の股間も盛り上がっていた。  隙間なく唇に吸い付くと、強い神力を流し込む。 「ぅ、ん……」  すっと目を閉じた閉がソファの背もたれに体を預けて眠ってしまった。 「閉さん、寝ちゃった。開さん……」  直桜を抱きしめる開を振り返る。  開の方から唇を吸われて、直桜は開の首に腕を回した。  閉と同じように強い神力を一気に流し込む。 「瀬田君、きもちぃ……」  開も、ソファの背もたれに体を預けると、そのまま寝入ってしまった。 「ん……、アレ? 二人とも、寝てる?」  開と閉に挟まれてソファに座っていた直桜は、顔を上げた。  確かに神力は流した、と思う。  だが、どうやって流したのかは、よく思い出せない。  二人の体から直桜の神力を感じるし、木札も渡しているから問題はないだろう。 「神力、強かったかな。調節しないと、まずいかな」  直桜の強すぎる神力を受け止めきれずに眠ってしまったのかもしれない。  その場合、体に神力が馴染むまで起こさない方がいい。  直桜はそっと回復治療室を出て、呪法解析部に向かった。

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