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Cp7.護×直桜『唯一の魔酒⑨』
護の匂いがする。
慣れた温もりが、体を包んでいる。
大好きな唇が、直桜の唇を食んでいた。
ゆっくりと目を開く。
愛する人の顔が、目の前にあった。
「おはようございます、直桜」
大好きな声が直桜の名前を呼ぶ。
直桜は、護の体に抱き付いた。
「おはよう、護。起きてすぐに護の顔が見れて声が聴けるの、幸せ」
直桜にとっては何よりも贅沢で、奇跡のような毎日だ。
「体、怠くありませんか? どこか不調はないですか?」
どうしてそんな風に聞くのだろうと思いつつ、自分の体を感じ取る。
「ちょっと怠いかな。神力、沢山使った後みたいな……」
そう話して、理由を考えた。
昨日は梛木の木札を各部署に配りながら神力の祝福を与えて回ったはずだが。あまり良く覚えていない。
「俺、昨日……」
言いかけて言葉を止めた。
そういえば護には内緒の仕事だった。
「あまりよく、覚えていない?」
言い当てられて、顔を見上げた。
「……うん。俺、また何か、しちゃった?」
嫌な予感が過る。
護は笑んだまま、直桜の頬をするりと撫でた。
「今は思い出さなくていいですよ。後で話しますね。祝福を与えるのに神力を多く消耗したので、回復しないとね。忍班長がお休みをくれましたよ」
話しながら、護がゆっくりと直桜の髪を撫でた。
その手つきが優しくて柔らかくて、気持ちがいい。
(祝福のこと、知ってるんだ。紗月や清人に聞いたのかな。護は13課が長いし、バレても当然だよね)
毎年、惟神が担う行事らしいから、直桜にお鉢が回ってきても何も不思議ではない。
不意に護が腰を上げた。
直桜の腹に、強い圧迫と快楽が走った。
「え? 護、俺の中、繋がって……」
すでに硬く熱い男根が直桜の中に挿入されている。
気が付いた途端に後ろの口が締まった。
「ぁ……、直桜、締めないで。すぐに出ちゃうから」
護が快楽に顔を歪めた。
「保輔君に、媚薬を調合し直してもらいました。直桜の神力が回復するように。俺が中に出せば、回復も早いですよ」
護が、くいくいと腰を揺らす。
じんわりとした快楽が徐々に強い快感に変わっていく。
「ぁ……、んっ、もぅ、気持ちぃ……。護が出すと、俺が、元気になる、の?」
緩く腰を動かす護を見詰める。
「そう、直桜が回復すれば、俺も神力を貰えて元気になるから、一石二鳥でしょ」
そういわれるとそんな気がしてくる。
直桜は護に腰を押し付けた。
「じゃ、いっぱい出して。護に満たされたい」
顔を上げて、キスを請う。
餌を求める雛鳥のように顔を突き上げる。
顎を掴まえて、護が直桜の唇を吸った。舐めあげて舌を吸い、絡める。
口内いっぱいに護の舌が侵入して、総て犯される。
気持ちが良くて、もっと欲しくなる。
「はぁ……、この唇を奪われたと思うと、許せませんね」
「奪われ……? んっ、んぁっ」
噛みつくように唇を重ねながら、護が腰を振る。
既に奥まで入り込んでいる男根の先が直桜の最奥を突く。
「……ぁっ、ぁぁ! 護、いつもより、深、いぃ!」
普段なら届かないような奥を何度も突かれて、体がビクビク震える。
擦る場所がいつも通りで何度も甘イキしてしまう。
直桜の男根の先からトロトロと先走りが流れた。
「寝ていて腹の力が抜けていたから、いつもより奥まで入れちゃいました。ココ、突かれると気持ちいいでしょ? 直桜も何度もイってください」
直桜の体を強く抱いて、護が腰を強く打ち付けた。
「ぁ! ダメ、出ちゃう、からぁ!」
背中が大きく反って、男根の先から白濁が溢れる。
「直桜のイキ顔、可愛い。この顔は俺だけのモノにしておきたいな」
護の唇が頬に額に、雨のように降り注ぐ。
(護、いつもより優しい。激しくて気持ちいいのに。いつもと違う)
エッチの時はちょっと意地悪で、そんな護が大好きだが、今日みたいに優しい護も好きだなと思う。
護が耳を食んで吐息を吹きかけた。
くすぐったくて、震える。
「俺も出していい? 直桜の中に、いっぱい出したい」
「うん、欲しい。護の、溢れるくらい出して。全部、飲むから」
直桜の中で、護の男根が大きくなったのが分かった。
大きくて熱い男根が最奥を突く。奥にハマって、腹の中でクポっと音がした気がした。
「まも、る、いつもより、きもちぃ、へん、なる、ぁ、ぁん!」
逃げようとする直桜の体を護が抱き締めて離さない。
「奥、何度もハマると、気持ちいいでしょ? 直桜もいっぱい、出してくださいね」
護の腰が小刻みに揺れる度、快感が脳を貫く。
直桜の先から溢れた白濁が、いつの間にか護の腹を汚していた。
「っ、ぁっ……、直桜、また出るっ」
根元を飲み込むほど奥まで入り込んだ護の先から、精液が流れ出たのが分かった。
腹の中が熱くて、じんわりと溶けて沁み込んでいくような気がした。
「きもちぃ……、護、もう、何回か、出してる?」
「直桜が寝ている間に三回くらい、出しましたよ。もっと、しましょうね」
息を荒くして、護が直桜を見下ろした。
艶っぽい目には劣情が浮いて見えて、胸が痺れた。
(護が三回も出すの、珍しい。保輔の媚薬って、そんなに効果あるんだ)
見上げる直桜の顔を護が何度も撫でる。
「直桜のこんな顔は、俺にだけ見せて。他の誰にも晒さないで」
その言葉は懇願のようで、護の目が泣いて見えた。
「護が相手じゃなきゃ、きっとこんな顔にならないよ。俺をこんな風にしたのは、護だよ」
直桜の顔を撫でる護の手を握る。手の甲に口付けた。
自然と神力が籠って、護の中に流れ込んだ。
「あ、神力流しちゃった。護には神紋から流れるから、必要ないのに……」
護が直桜の体を強く抱く。
その顔を胸に押し付けた。
「そんな神力、流されたら、愛してるって百万回言われるより嬉しい」
護の腰がまた小刻みに揺れている。
無防備に流した神力には無意識に気持ちが乗ってしまう。
言葉で気持ちを伝えるより正直な感情で、余程に恥ずかしい。
「好き過ぎて、制御できなかった。ちょっと、恥ずかしい、ね」
護の腰が大きく動いて、強く奥を突く。
また腹の中に護の白濁が溢れて、沁み込んだ。
「ぁ……、きもちぃ……」
精液が沁み込むたびに、快楽が増す度に、神力が戻ってくるのを感じる。
「直桜は俺を、愛で殺す気ですか」
耳を食まれて舐められて、吐息を言葉と共に流し込まれる。
「死んじゃ、ヤダ。でも、いっぱい伝えたい」
自分から顔を上げて、唇を重ねる。
そこから神力を流し込んだ。
護の体が震える。腰を動かしていないのに、腹の中が熱くなった。
快楽が沁み込んでくる。
「今日は、いっぱい出ちゃうね。媚薬のせい?」
「ぁぁ、もぅ……」
唇を吸われて、腰を打ち付けられる。
何度も腹の中に沁み込んだ快楽のせいで、直桜の先からもまた白濁が吹き出した。
腹の中にまた護の白濁が流れ込んだ。
「全部、直桜のせい。直桜が可愛くて、俺が欲しい言葉や気持ちばかりくれるから。何もかも許す気になって、どうでもよくなる」
護の言葉の意味が半分くらいわからなくて、返事が出来ない。
「直桜が愛してくれさえすれば、俺は生きていけるって話です」
降りてきた唇に、唇を返した。
「なら、護はきっと長生きだね。俺は一生、護を愛してるから」
護の腰がビクリと震えて、また腹の中が熱くなった。
「ねぇ、こんなに出して大丈夫? 護って、いつも何回もはイかないよね?」
普段のセックスでは一回か、多くて三回くらいだ。
直桜のように何度も出すタイプではない。
あまりに多いと、心配になる。
「大丈夫、そういう媚薬を作ってもらったんです。今日は直桜を俺で染めたかったから。元気になってもらうためでも、ありますけどね」
ニコリと笑んだ護の目に嗜虐心が浮いている。
いつものSっぽい目が直桜を見詰めて、嬉しくなる。
「じゃぁ、いっぱい出して。護が飽きるまで、シよ。いつも俺のペースに合わせてくれるから、今日は護が満足するまで繋がろ」
直桜の首に護が嚙みついた。
甘噛みされる皮膚がじんわり熱くて気持ちいい。
「俺が満足するまでなんて、いつ終われるか、わかりませんよ」
「いいよ。そういう護が好き」
同じように肩に噛みついて、抱き付く。
護がまたゆっくりと腰を動かした。
「直桜が俺の色に染まりきるまで、抱きますからね」
「うん、嬉しい。もっともっと、色褪せないくらい、染めて」
護に掴まって、緩い快楽を貪る。
そんな風に繋がれる今が、幸せだった。
神力が回復した後、直桜は護に自分がやらかした失態の総てを聞かされる羽目になるが、被害を被った人々が何も覚えていなかったので、謝罪は敢えてせずに、事件はうやむやになった。
保輔の媚薬はしばらく使用禁止になるのだが、この時の直桜はそんな事実は知らずに幸せに浸っていた。
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