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世話係である安野から、大河の母親が撮ってくれた写真が送られてきた。
その写真を早速、自室の壁に掛けてあったコルクボードに飾った。
その写真で真っ先に見たのは、満面な笑みを浮かべる自分の隣に並ぶ友達の顔。
傍から見れば、いつも緊張しているのかと思われるような表情が、この写し出された写真にはどことなく嬉しそうな顔をしているのが見えた。
それは自分を真似て、彼なりの精一杯の顔か、それとも心から嬉しいと思っているのか、それとも、携帯端末を向ける大好きな母親が笑っていたから、そのような表情を見せたのか。
自分が隣にいたから、その顔をしたからと思いたいけれども。
次に見たのはピースサイン。
これは一緒に撮ってもいいかと訊いた時、大河がいいよと頷いてくれて、それが嬉しくて、お礼を込めて「とっておき」だと言って、教えたポーズだ。
それは、ぴんと真っ直ぐに立てた伶介とは違い、大河のピースは自信なさげに曲がっていた。
伶介が教えたあの日初めてピースをしたのだろうか。
そうだとしたら、なんだか嬉しくて、そして可愛い。
何したって、大好きな友達と一緒に撮れてこの上なく嬉しい。
「⋯⋯かわいいな、たーちゃんは」
「伶介? また大河君と撮った写真を見ているの?」
心で思っていた言葉が知らず知らずのうちに零れていた時、不意に声を掛けられた。
「まま、きていたの?」
「『ハニワのだいこうしん!』を観ながら、一緒におやつを食べようと思って呼んだのだけど、いくら呼んでも返事がないから、どうしたのかと思って入ったのよ」
もうそんな時間なのかと思った伶介だったが、呼んでいたことに気づかないぐらい夢中で眺めていたのか。
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