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「ごめんなさい⋯⋯。でも、たーちゃんにとってははじめてのともだちのぼくが、たーちゃんのたんじょうびをいっしょにおいわいできて、だいすきなたーちゃんといっしょにとったしゃしんでもみられるんだよ? とってもうれしくて、みちゃうよ」
握り拳にし、興奮気味に口癖のように言っていることを口にした。
そうなのだ。たーちゃんにとっては初めての友達であるぼくを、大切な日に一緒に祝ってもいいと思われたのだ。
初めて会った時と比べると、それほどまでに仲良くできたのが嬉しくてたまらない。
改めて噛み締めていると、母が笑い出した。
「ふふ、そうね。本当にお友達になれて良かったね」
「うん!」
──ぼくがたーちゃんと会うきっかけになったのは、父からの相談だった。
ぼくの父は、社長を支える秘書というのをしている。
その共に仕事をしている社長がとある事情で、子どもと接する機会ができたけれども、仲良くしたくてもなかなかできずにいて、難色を示しているのだという。
『どうしたら、仲良くできるかな⋯⋯』
『ぼくがあってもいい?』
『えっ?』
目を丸くする父に「よくないこと?」と首を傾げた。
『悪いことじゃないよ。むしろいいこと! そう思う気持ちがとてもいいこと! 確かにお子さんは伶介と同い年だと言っていたし、この際お友達になるのもいいかもね。それはいいかも!』
うんうんと頷いていた父が、「さすが我が息子! いいアイディアを言ってくれたね!」とにっこりとした顔で頭を撫でた。
毎回のことながらなんて大げさなと思うが、やっぱり撫でられるのは嬉しい。
照れ笑いを見せると、「可愛い可愛い」と言ったのを皮切りに、「パパだったら思いつかなかったよ」とか「誰かを気にかける優しさ、いいよ〜!」と言ったりしてきた。
そして、こうも言った。
『会えるのが楽しみだね』
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