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 一般的な成人男性一人程度であれば、背負って歩くことは何の苦でもない。しかし、人間としては体力的にかけ離れている。ここはマスターの厚意に甘えることにしよう。  ロイドは急いで着替えて再び店内に戻る。彼は一人残されているが、ぐっすりと寝ている。ふと、腕の隙間からチラリと彼の顔が見えた。  長いまつ毛、すっと伸びた鼻、厚すぎず薄すぎない唇。改めてじっと見てみると、王子様を彷彿とさせる整った顔立ちだ。  かっこいいなと思っていると、再びドキリとした。今日彼のことを見て何回同じように感じただろう。そもそもどうして彼のことを見たり考えたりすると、まるで緊張したかのようになるのか。ロイドは必死に考えるが、その答えは分からなかった。 「おーい、タクシー来たよ」 「はい、分かりました」  マスターが店の入り口から声をかけてきた。  ロイドは彼をしっかりと背負い、店を出てタクシーに乗った。 「よろしくねー」  そう言ってマスターは店の中へ戻っていった。

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