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「あれ、どうしたの?」 「あっ、マスター。この方が全く起きなくて……」 「そうなの? どうしようね……」  マスターは困って腕を組みながら考え込んだ。  ロイドは再び彼に視線を向ける。無防備な姿で外にいさせるわけにはいかない。何より、ロイドにとって恩人である。何かロイド自らができることはないかと考える。  ふと、一つの案が思い浮かんだ。 「……あの、僕の家に連れていってもいいですか?」 「えっ? それはありがたいけど、この人大丈夫なの?」 「大丈夫です。彼、僕の恩人なんです」  彼の名前は知らないけれど、恩人ということは嘘ではない。 「恩人? ……あぁ、この前の。じゃ、ロイドに甘えてお願いしちゃってもいいかな?」 「はい!」 「じゃ、タクシー手配しておくからその間に着替えちゃって」 「ありがとうございます!」  ロイドは一礼してスタッフルームへと向かっていった。

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