「たくさんお持ちなんですね。今まで聴いていた限り、全て恋愛を描いたものだと思っていたのですが、何か意図はありますか？」 「その……恋をすると人間になれる気がして。僕、今まで人間と思われるように振る舞ってきたので、少しでも多く人間らしいことをしてきました。でも、恋って何だろうって思ったときに歌が聞こえてきて、とっさに答えが得られるかもしれないって思って歌い始めました」 「それで、答えは見つかりましたか？」 　サリーは表情を変えることなく、淡々と質問してきた。 「いえ……。でも、歌うことが楽しいのでこれからも続けていきたいと思います」 「ありがとうございます。そうですね……少々お待ちください」 　するとサリーは突然立ち上がって、本棚の方へと向かっていった。世間一般ではどちらかというと電子書籍が主流であるが、サリーは紙の本が好きなのだろうか。