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「お疲れさまです、ロイドさん」
「おう」
にこやかなライルに対して、アンディはやけにそっけない。
アンディが研究所に戻ってきてから、ロイドに対していつもアンディは冷たい印象がある。最初のうちは研究所にいるせいだと思っていたが、サリーやライル、他の研究員に対しては明るいアンディである。
一変した態度の理由を問うのは、ロイドには怖くてできなかった。
「僕、個室にいますね」
せめて自らは変わらずにいれば、と、ロイドはアンディに笑顔で話しかけて研究室の個室へと入っていった。
「はぁ……」
一人になった途端溜め息が出てしまった。
サリーかライルにアンディのことを相談できればいいのに。何度もそう考えたけれど、忙しいところに余計な考えごとを増やしてしまうのは申し訳ないと思い、結局一人で抱え込んでいた。
「……よし、本を読もう」
ロイドは気をまぎらわせるために、先ほどサリーから借りた本を開いた。
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