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 ロイドはいつも通りの時間にスリープモードを解除した。同時にコーヒーの匂いを感じる。まるで嗅ぎ慣れたものが身体を起床させたかのようだ。  急ぐ必要はないけれど、さっと身支度を整えたロイドは部屋を出てコーヒーがあるだろうリビングへと向かった。  そこには、二人分の朝食と、コーヒーを淹れているアンディの姿があった。 「おはようございます、アンディさん」 「……おう。もう少しでできるから座っててくれ」 「ありがとうございます!」  研究所が辺鄙な場所にあるため、敷地内には住宅棟がある。アンディは所長であるため、住宅棟の隣に自らが求める家の設備を入れていた。ロイドは客という形でアンディのすぐ近くの部屋を使わせてもらい、研究の一環として毎日一緒に朝食を取っていた。  ベーコンエッグを乗せたトーストの隣に、湯気をくゆらせるコーヒーが並べられた。

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