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「おまたせいたしました」  店員が二人分のケーキと飲み物を運んできてくれた。そっと置かれていく美しいケーキに、アンディは釘付けになっていた。 「ここのモンブランとコーヒーは特別美味しいんだ。混んでるし俺もなかなか研究所から出られないからそうそう食べられないけどな」 「そうだったんですね。今日は来れてよかったです」 「ショートケーキももちろん美味いぞ」 「では、早速いただきます!」  ロイドは一口サイズをフォークですくい、ぱくりと口にする。以前一度だけアンディの手作りスイーツを食べたことのあったロイドはそのことを思い出した。優しい口どけ感がとてもよく似ていて、アンディの原点はこのケーキにあるのかと思えてきた。 「美味しいです!」 「喜んでもらえてよかったよ。この店に出会ってなかったら、俺は料理を趣味にしようとは思わなかった」

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