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「僕の話を聞いてもらえますか?」
「もちろんです。行きましょう」
二人はサリーの研究室へと向かっていった。いつも話している場所である上に、他人を気にする必要なく落ち着いて話せる気がする。
サリーの研究室へ入ると、二人はいつも通り向き合う形で座った。何も変わったことはしていないのに、ロイドは不思議と落ち着きがなくなっていた。
「ゆっくりで大丈夫です」
「す、すみません、サリーさん……。お時間とか、大丈夫ですか?」
「ええ。今日は急ぎのことも会議も何もありません」
ロイドは自らの手をぎゅっと握って拳を作った。ゆっくりと力を抜いていきながら徐々にサリーの顔へ視線を向ける。
「実は……さっきアンディさんに精密検査をしてもらっていました。最近ずっとドキドキした感覚がしていて。異常は何もなかったんですけど、アンディさんに触れられているともっとドキドキしていました」
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