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「ロイドさん、どうかしましたか?」
不意にロイドを呼ぶ声が後ろから聞こえた。振り返るとそこには、資料らしきものを抱えたサリーの姿があった。
「サリーさん……いえ、なんとも……」
「よろしければ私の研究室へ来ますか? 無理強いはしませんが」
きっとサリーはロイドの異変に気付いている。
ふと、今までもたくさんのことを聞いてくれたサリーなら、笑うことなく聞いてくれるかもしれない、そう思った。けれども、アンディが関係していることを身近な存在であるサリーに話すべきことなのだろうか。
悩んで何も言えずにいると、サリーはロイドにニコリと微笑んできた。
「一人で抱え込んでいては、答えが出ないかもしれません」
「サリーさん……」
信頼しているサリーなら大丈夫だ、ロイドはそう確信した。
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