79 / 110

79

「ロイドさん、どうかしましたか?」  不意にロイドを呼ぶ声が後ろから聞こえた。振り返るとそこには、資料らしきものを抱えたサリーの姿があった。 「サリーさん……いえ、なんとも……」 「よろしければ私の研究室へ来ますか? 無理強いはしませんが」  きっとサリーはロイドの異変に気付いている。  ふと、今までもたくさんのことを聞いてくれたサリーなら、笑うことなく聞いてくれるかもしれない、そう思った。けれども、アンディが関係していることを身近な存在であるサリーに話すべきことなのだろうか。  悩んで何も言えずにいると、サリーはロイドにニコリと微笑んできた。 「一人で抱え込んでいては、答えが出ないかもしれません」 「サリーさん……」  信頼しているサリーなら大丈夫だ、ロイドはそう確信した。

ともだちにシェアしよう!