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様々な思考がロイドの中に埋めつくされて、ロイドは何を言うべきか分からなくなってしまった。このまま二人して黙り込んでいては何もないかもしれない。
「アンディさん」
「ロイド」
ロイドがアンディに呼びかけると同時に、アンディはロイドの方を向いて話しかけてきた。再び視線がぶつかって、ロイドは頭の中が真っ白になった。
「……け、検査、してくださってありがとうございました!」
「お、おう」
ロイドはさっと立ち上がり、検査室のドアの前まで早足で歩いた。
「失礼します」
一礼してそそくさと部屋から出ていった。今のロイドには、アンディから離れるだけで精一杯だった。
「はぁ……」
被験体で、共に過ごす時間が多くて、この先どうすればいいのだろうか。誰かに相談できればいいかもしれないが、とても誰かに伝えられる内容ではない。
いい方法をひたすら考えながら、ロイドはとぼとぼと歩いていく。
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