77 / 110

77

 アンディの顔がさらに近付いてきて、唇に柔らかいものが触れてきた。ロイドは一瞬何が起こったのか分からなかった。  温かい感触が伝わってくる。これは、どう考えてもアンディの唇だ。  ロイドがアンディにキスされていたことに気付いたときには、もう唇は離れてしまっていた。これは一体どういうことなのだろうか。 「アンディさん……?」 「っ……! す、すまない」  短く謝ったアンディは、ロイドに背を向けてしまった。一瞬見えたアンディの顔は、少し赤くなっていたような気がした。  キスは好きな人同士でするものである。サリーから借りた本や、この前アンディに買ってもらった本を読んで、ロイドはそう認識していた。  アンディは何を思っているのだろう。アンディは謝ってきたけれど、ロイドは嫌ではなかった。彼のことを考えているうちに、再びドキドキした緊張感が強くなってきた。

ともだちにシェアしよう!