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「あの、サリーさん……」
ロイドが呼びかけるのと同時に、サリーは一冊の本を持って再びロイドと向かい合った。
「よろしければこちらを。途中で嫌になりましたら読むのをやめても構いません」
「はぁ……」
今まで聞いたことのないサリーの言葉を不思議に思いつつも、ロイドは差し出された本を受け取った。
「応援してますよ、ロイドさん」
ニコリと笑っているサリーに、これ以上何かを問うことはできなかった。直接的に聞いても教えてくれる気はしない。
一礼してサリーの研究室を出ていったロイド。本にヒントがある理由も、サリーの言葉の意味も、何もかも分からないままアンディの研究室へと向かっていく。
気まずいとはいえ、日中は彼の研究室にある個室で過ごしているため、他に過ごす場所があるわけではない。
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