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「いや、大きな声がしたから何事かと……」 「ごめんなさい……」  ふと、アンディの視線が本に向けられていることに気付いた。本の内容を見られたかもしれない。やましいことは一切ないにもかかわらず、ロイドは本を隠したくなった。 「サリーさんに……本を読めば、ドキドキした感覚の原因が分かると言われて読んでいました」 「それで、分かったのか?」 「……はい。僕、アンディさんのことが、好きみたいです」  ロイドの言葉に、アンディは驚きの表情を見せていた。しかし一瞬のことで、今度は険しい顔をして何かを考えていた。アンディに対して何かよくないことを言ってしまったのだろうか。 「……本当にロイドはそう思っているのか?」 「えっ……?」

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