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第47話 アルファのマーキング

 俺は桂木先生の言う事がよく分からなかった。 「あの、Ωはαに疎まれているんでしょ?だったらどうしてマーキングなんてするんですか?」  桂木先生は考え込む様に腕を組んで話し始めた。 「疎まれているという言い方は少し違うかもしれない。昨今はより良いαと番になりたいという一部のΩが、ワザと発情して望まないαを罠に落とす事が多く行われた。お陰でアルファである彼らは、Ω全般に対して嫌悪を感じるようになったんだ。  本来は自然に惹かれ合うアルファとオメガが、番う前にマーキングをして、他のアルファから自分の相手を守って来た。ゆっくり愛を育みながら、発情期に納得の上で番って来た。それは何の脅威にもならなかったし、問題もなかった。  今は色々あったせいで、Ωにマーキングをするαが減っていて、お陰でΩには厳しい時代なんだ。自分を守りながら番になるαを探さないといけないからね。  いま岳君はΩになったばかりなのに、二人のαからマーキングを受けて守られている。まぁ二人ってのが問題だけど、取り敢えず岳君にとっては良いことだよ。  ただし、岳君の発情期に関してはいつ来てもおかしくないし、1~2年先かもしれない。変異Ωはやっぱり後天性で読めない部分があるからね。発情期はマーキング外のαも混乱させるから、用心して抑制剤でコントロールしてね?  抑制剤じゃ抑えられないくらいホルモン値が出たら、引きこもるか、ネックガードしながら、マーキング相手に発散相手になってもらうかどちらかの手段が必要だよ?  岳君はえーと、大沢君と高井君だったかな、彼ら二人に頼んでおくと良いよ。多分彼らの方が岳君のホルモンの変化に気づくと思うから。僕もΩになったばかりの岳君の側に、彼らの様なαがいてくれて本当にホッとしているんだ。」  俺は今桂木先生に何かとんでもない事を言われた気がした。一応確認しておいた方が良いだろうか。 「…先生、あの、俺の発情期?が来たら、あいつらに発散?してもらうって聞こえたんですけど、それって具体的にどこまでの事を言うんですか?」  先生は僕の顔を見て、にっこり笑って言った。 「勿論体液を身体の中に入れてもらうんだよ。君のホルモン値が落ち着いてるのは、側にきみが心許すαがいる事と、キスして体液が入った事が理由だ。でも、発情期はそれでは間に合わない。かなりオメガ値のホルモンバランスが崩れるからね、放っておいたら死にそうなくらい苦しいよ?  だから、たっぷりアルファの体液を注入してもらってくれ。まぁ精液が妥当だと思うけどね。大丈夫、君には二人もマーキングアルファが居るんだから、直ぐに楽になるよ。」  神様、桂木先生は酷いエロゲーの話をしたんじゃないですよね?俺に二人のアルファにとことん貪られろって言ったんですよね?…なんて事だ。もう、無理。Ωなんて嫌いだ!

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