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第50話 尋問は避けられない

 結局ジョンとは、俺もボール遊びで仲良くなった。それにしてもボールを咥えて戻ってくる時の嬉々としたジョンの顔の怖さったらない…。いや、ドーベルマン舐めてた。美しい犬には違いないけど、まだ怖いよ。ベルベットの様な毛並みは気持ち良いけどね。  俺は叶斗の部屋を見回した。お坊ちゃんらしい叶斗は部屋も豪華だった。20畳ほどの広さに専用シャワーブースやトイレも付いていて、まるでワンルームみたいだった。妙に大きなベッドと壁一面にPCや机、大きな液晶が備え付けられていた。 「へー、叶斗ん家って凄い金持ちなんだな。マイシャワーまであるなんて贅沢だ。」  俺がキョロキョロ部屋を彷徨いて感想を述べると、叶斗はニヤっと笑って言った。 「うちの親は番だからな。俺も部屋から出ない方が都合がいい時があるんだよ。」  納得した様子の高井とは違って、俺には何を意味しているのか分からなかった。眉を顰めていると、叶斗は笑いながら言った。 「親が番だと、子供が苦労するってことさ。Ωの発情期の時は両親が籠っちゃって、まぁ子供の頃から慣れたものだけど、それでも思春期の頃は微妙な気持ちになったからな。今は全然だけど。  微妙な気持ちの頃に、あまり家の中を彷徨かなくていい様にしてもらったらこんな部屋になった訳。ははは。」  俺はそもそも番になったαとΩに発情期が来ると具体的にどんな状態になるとかイメージ出来なかったので、曖昧に頷いた。すると高井が眉を顰めて俺に尋ねた。 「岳はレクチャー受けたんじゃないのか?」  その話は避けたかった…。こんな密室でしたくなかった。これだったら学校でした方が良かったのでは?そう俺が後悔する間も無く、叶斗が俺をベッドに引っ張りこんで、ボスンと弾んだ。 「そうそう。その話を今日聞こうと思って家に誘ったのもあるんだ。で?どんな話聞いたの?」  高井もベッドの前に座り心地の良さげな一人椅子を引っ張って来て、俺の脱走を阻止した。 「ど、どんなって?取り立ててお前たちに報告する様な話は無いけど…。」  すると高井は俺をじっと見つめて言った。 「いや、岳は変異Ωだ。一般的なΩとは違う事もあるんじゃないのか?それに分からない事は、俺たちのわかる範囲なら教えてやれるし。αの事もな。」  俺は、叶斗と高井の視線に耐えかねて白状する羽目になった。ああ、これって羞恥プレイじゃないのか?

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