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第51話 怪しい気配

 「そもそも普通のΩがどうなるかって事もよく知らないんだから、そこは踏まえてくれよ?そうだな…、変異Ωの研究者の桂木先生は自身もΩで、結構赤裸々にアドバイスしてくれたんだと思うんだけど。  俺の発情期は明日にも来るかもしれないし、1年後かもしれないってさ。要は年齢とか関係ないって感じだ。…あと、お前たちにキスでマーキングされているって。先生にズバリ当てられて俺マジで居た堪れなかった。」  そう恨みがましい眼差しで二人を見ると、叶斗は目を見開いて言った。 「へぇ、その先生凄いね。マーキングされているΩは、何となくこっちも食指が湧かない感は有るんだけど。ハッキリとは分かんないよね?高井は分かる?」  叶斗がそう尋ねると、高井は首を傾げて考えながら答えた。 「…マーキングされてるΩか。基本、その手のΩは必ず相手のαが付き従っているからな。一人歩きしているΩはフリーの場合が多いから。」  俺は叶斗も高井も、今までΩに惹かれた事がないのかなとシンプルに疑問を感じた。俺に執着してるけど、変異Ωだから物珍しいのかもしれない。 「なぁ、お前たちは今までΩと付き合ったりしたわけ?」  すると二人は顔を見合わせて笑った。そして叶斗が俺にニヤニヤしながら言った。 「気になる?岳。そもそも、Ωは数が少ないからね。俺は付き合ったことないな。誘われた事はあるけど。でも、何か俺がαだからってあからさまに近づいてきたから、乗らなかった。ギラギラしたΩって怖いよ。それに、もしΩが発情したら、どうしたってこっちも影響受けるし。」  俺は首を傾げて尋ねた。 「なら、俺の側に居ない方が良いんじゃないの?ほら、いつ発情するか分かんないだろ?」  すると叶斗は俺にいきなり抱きついて、首筋に顔をうずめて言った。 「何言ってんのかな、岳は。俺は岳がΩで嬉しいってのに。バース関係なしに俺は岳が好きなんだ。岳が発情したら、絶対頂くけど。」  すると高井も何故かベッドに移って来て、俺を真ん中にして座った。 「俺がマーキングしたのも、叶斗はともかく、他のαに岳に目をつけさせないためだ。変異Ωのせいなのか、岳自身のせいなのか、お前って放って置けないんだよ。…なぁ、他にも先生に言われなかった?Ωのホルモン値とか。」  そう言って、俺の手をぎゅっと握った。んん?もしかして俺って今二人にがっちり押さえ込まれそう?俺は内心焦りながら高井の言った言葉をなぞった。 「Ωのホルモン値?…なんか、お前たちのマーキングのおかげで落ち着いてるって言われたかも。」  すると高井はニンマリ笑って、俺の顎を指で持ち上げて言った。 「だったら、もっとマーキングしなくちゃな…。」  父さん、俺は今きっとピンチです。腰には叶斗ががっちり腕を巻き付けてるし、顎は高井に掴まれてるし、もっとマーキングするって…。それって体液を入れるって事!?

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