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第84話 タガが外れたのは誰のせい?※
ズンっと抉るような新の突き入れに、俺は息を止めた。ビリビリと背中を這い上がる覚えのある鋭い快感に、俺は微かに薄ら笑った。これが欲しかった。全身で感じるその強烈な支配を、俺は欲しかったのだろうか?
新が動き出すと、俺は馬鹿みたいに喘がされた。持ち上げられた片足をベッドに押し付けられると、焦れ付くようなあの場所を執拗に擦られて、ギリギリまで追い立てられた。
「…あらたっ!いっちゃうっ!」
波が決壊を越える前に、新は腰を引いて俺を焦らした。俺はもう、泣きが入って、苦しくて、新にすがってこの甘い苦しさの解放を懇願した。
「逝かせて、あらたっ、あっ、ああぅ!」
けれども新は、俺の頬に汗を滴り落としながら言った。
「まだだ。岳が上手に中イキ出来る様に、もうちょっと、なっ。」
俺は恐ろしいものを見るような気持ちで新を見つめた。え?なんて?けれど、俺が新の言葉を解読する前に、挿出のスピードを上げた新に、俺は文字通り吹っ飛ばされた。
身体を絞られる様な絶頂で俺は新にしがみついて、ガクガクと身体を揺らした。けれども新はそこから更に、自分でも呻きながらも、両脚を抱えて俺の奥へとグリグリと突き進んだ。
「くそっ!何だこれっ。持ってかれるっ。」
そう言い放った新の言葉が俺の耳元で聞こえて、それは俺をまた興奮させた。俺が攻められているのは間違いないけれど、俺もまた新を貪っている。
堪えられない新の腰の動きが大きく速くなって、俺は耳鳴りのする様な連続の絶頂に放り込まれた。ぎゅっと絞り込まれるようなこの感覚は、圧倒的な気持ち良さと、僅かな恐怖を感じさせた。
放り出された様な俺にグイっと何度も押し込みながら、新は俺の半勃ちのシンボルを指で弾いて言った。
「もうこっちは出るものも無いのに、岳の中はギュウギュウうねって離そうとしないな。上手に中イキしたな、岳。」
そう馬鹿みたいな事を俺に言うから、俺はぐったりしながらも、力無く新に言った。
「…あらた、きらい。そんな事ばっかり言って、もうやだ…。」
顔を背けた俺は、とは言え勝手に身体は新を咥え込んで今もなお、しがみついて離れない。そんな矛盾した自分がもう、どうしようもなくって辛かった。
新はハッとしたように、俺の顔を覗き込んで、眉を下げて慌てた様に言った。
「…岳?え?岳、泣いてる?悪い!調子に乗った!機嫌直してくれ…。」
そう言って俺をそっと抱きしめたけれど、さっきよりも新のそれが俺の中で張り詰めたのが分かった。俺はギョッとして、新を睨みつけた。すると新は済まなそうな顔を赤らめて言った。
「…悪い。俺、岳の泣き顔ツボみたいで…。」
俺は思わず叫んでいた。
「あらた、ほんとヤダ!」
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