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「では…最後に。――ご自分の、…オメガ属に対しては。」
「……、はあ…」
だから、僕は属性でどうこう言えないとはっきり言ったのに、やはり聞いてくるらしい。
なんなんだろうか。――正直、本当に意味がわからないんだが…まあ、僕がこれで答えなければ、僕はソンジュさんにまた怖いほど追求され続けるのだろう。
「…………」
まあとはいえ…正直、自分がオメガ男性として生まれなければ…――そう思いそうになる瞬間は、此 処 に い る と 、いくらでもあるのだ。
世界人口の97パーセントがベータ。2パーセントがアルファ…そして残りの、世界に約1パーセントほどしか存在していないのが――僕たち、“オメガ”という種族だ。
オメガは“超劣性遺伝”である。
つまり、劣性遺伝のアルファよりももっと遺伝しにくいのがオメガ遺伝子であり、そのためアルファ属やベータ属とオメガ属が子供を作れば、高確率で、相手の遺伝子を受け継いだ子供が生まれる。――あるいはオメガ同士で子供を作れば、ほぼ確実にオメガ属が生まれるらしいが。
そんな“超劣性遺伝”のオメガ属が、世界人口の中で一番少ないのは納得だが――では逆に、なぜそれでもオメガ属が1パーセントも世界に存在しているのか。
その理由は――オメガ属として生まれた人のほとんどが、隔世遺伝で生まれているからだそうだ。
どの種族においても、元を辿れば必ずといってもよいほどオメガ属の先祖が居るそうで、つまりたとえアルファであろうがベータであろうが、この世の中の人々のほとんどは“オメガの遺伝子”を持っている。
そして、その“オメガの遺伝子”が覚醒する条件として仮設が立っているのは――まだ胎児とも呼べない細胞の段階で、母体から分泌されている“オメガホルモン”を子宮内で多く浴びることによって、オメガという属性決定が成されているのではないか、と。
ただし、どのような女性が、どのような環境下でその“オメガホルモン”を多く分泌するのか、ということまではわかっていないらしい。――ただ一説には、妊娠中にストレス値の高い母親が、その“オメガホルモン”を多く分泌しているのではないか、ともいわれている。
つまりオメガは、アルファ属やベータ属のように初めから完全に遺伝でアルファ属だ、ベータ属だと決まっているわけではない属性なのである。――オメガに至ってはある意味で後天的に、その“オメガホルモン”という、特別なホルモンの分泌が多い母親が生み出す存在だそうだ。
だからこそ、アルファ同士の夫婦の元でもごくまれながらオメガ属は生まれるし、ベータ同士の夫婦の元にも、いや、言ってみればど の よ う な 組 み 合 わ せ の カ ッ プ ル の 元 に も オメガ属が生まれてくる可能性はあるわけである。
ある意味では――突然変異として生まれるのが、オメガという属性の人々なのだ。
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