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               見た目はか弱そうな少年、少女――ただしオメガ属のその膣内は男女ともに、ほかの種族の女性よりもよほど()()()()()()、といってもよいかもしれない。    そうして見た目こそオメガ属らしくない僕であっても、()()()()()()()()で生まれたのだ。    もちろん僕の体にも、オメガ属の要素はある。――それは、裸にならなければ分からない要素…つまり、性器だ。    オメガ男性である僕にも当然、女性器がある。  それはベータやアルファ男性でいうところの、ちょうど会陰辺りにある。…ソコに小さな膣口が開いてはいるが、ただし――他種族の女性のように小陰唇はなく、また大陰唇は一応あるものの、かなり薄い。そのため、脚を開かなければ(立っていれば)他種族の男性と同様の見た目であるとは思うのだが。    さて、会陰あたり…つまりオメガ男性の膣は、ベータ、アルファ男性の前立腺を収めている場所にあるということだ。…とはいえもちろん、オメガ男性であろうとも男性機能を有しているため、前立腺も存在している。    それの構造をできる限りわかりやすく表現するのなら、僕らオメガ男性の前立腺は、()()()()()ではないだろうか。――つまり球体状の前立腺に、膣が貫通しているような構造なのだ。…そのため、直腸にもその前立腺は隣接してはいるが、膣内から直接それに触れることもできる。  もちろんオメガ女性にも、前身が前立腺の、いわゆるGスポットが存在している人はいるが――オメガ男性は膣がありながら男性機能もあるため、ひと際その前立腺が発達している。…それこそ他種族の男性よりも発達しているのは、それの中心に膣が貫通しているため、どうしても前立腺の面積を大きくする必要があったからだそうだ。    またオメガ男性の膣内にはもちろん、そうして前立腺がドーナツ状になって存在しているが――実は、男性器の根本の海綿体もまた膣口あたりにあるため、ナカから触れることができる。――正直いうが、オメガ男性は他種族男女のなかでも特に、何かと()()()()()()なのだ。    ちなみに、オメガ属の女性器は男女関係なく、簡単に表現するならば――“名器”なんだそうだ。  僕らの女性器は、やけに男性器へ強い快感を与える構造になっている。――膣口からおよそ五センチ向こう、そこから奥に至るまでびっしりと、深くややざらついた舌のようなヒダが存在し、それは縦横無尽にうごめく。…無数の舌にベロベロと舐め回されているようだとか、それのせいでいわゆる“ミミズ千疋(せんびき)”といわれている。    また前立腺――およびGスポット(ただし他種族の女性同様、オメガ女性にもこの部分がない人はいる)――はザラザラとした質感で、ことにオメガ男性の前立腺はドーナツ状であるため、まるでざらりとした、人差し指と親指で作った輪っかで扱かれているようだというのだ。    そしてオメガ属の膣内は、奥に向かうほどやや狭まっているような構造で、奥へ奥へと吸い込むように波打つ膣壁からいわゆる“タコツボ”と呼ばれ――バキュームされているような、あるいは吸い上げられ、吸い込まれてゆく、吸い付いてくる、というような快感を、男性器に与えるのだという。    また何より――オメガの膣内にだけ、“子宮門”という器官が存在しているのだ。  その子宮門というのは、いうなればチューリップの花びら状の器官で、子宮口を花びらの根本とするなら、そこからチューリップの花びらのように細長く巾着型に生えている器官だ。  この子宮門は、男性器の先端をすっぽりと包み込むような構造をしており、挿入のたびにカリ首に吸い付き、優しく引っ掻くようだという。――この器官の役割は、射精された際にこの子宮門を締めて引っかけ、逃さないように、尿道口と子宮口の位置を合わせてより確実に、より多く精液を子宮へ迎え入れるため、それと、この子宮門に精液を溜め、受精の確率を上げる役割を持っているそうだ。    だから僕らオメガ属は、“妊娠するべき種族”などと言われてしまうわけである。    そもそもオメガ属の膣壁は、他種族の女性のそれより多様な動きをするらしく、ねじるような動き、大きく波打つような動き、絡みつくような動き、吸い上げるような動き――など、男性器への刺激にいやに特化しているため、僕らへの差別的な意識がある人からはしばしば、“自動オナホ”なんて侮蔑的な表現をされることもある。    付け加えると、ことにオメガ男性の膣内は、人によっては“どの女性器よりも絶品”と称する人もいる。  それというのは結局、僕らオメガ男性の膣内には、他の種族やオメガ女性のそこよりも部位が多いからだろう。――膣口付近にある男性器の根本、その海綿体は勃起していれば当然硬くなり、締め付けが強くなるものである。  またオメガ男性特有の、ドーナツ状の前立腺は、膣に挿入した男性器に柔らかい段のようなざらざらを、突き刺すたびにこりこりと、上下にこそがれるような、扱かれているような快感をもたらすものだというのだ。    それらに付け加えて“ミミズ千疋”の“タコツボ”、子宮門でいやらしく男性器を捕まえ、敏感なカリ首に何度も引っかかる――正直、オメガ属の女性器の“名器ぶり”はかなり一般的に有名である。    そのため、死ぬまでに一度でいいからオメガ属を犯してみたい、と夢見る男性も多くいるのだ。――また、そういった情報が一般的であるからこそ、オメガ男性ならばイける、という(本来は同性愛者ではない)男性が多いのかもしれない。    それに、僕らオメガ男性は悪いことに、そうして発達している前立腺は性感帯である――女性でいうところのGスポットである――し、もちろん、男性器の根本を擦られて快感を覚えないはずもないので、…皮肉なことに男性でありながら、他の種族より、下手したらオメガ女性よりも、僕らオメガ男性はナカで感じやすいのだ。    “わいせつな種族”――オメガ属がそう呼ばれるゆえんは、たしかにこの体にあるのだと、…今は正直、自覚している。       

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