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「……大丈夫…、此処なら安全ですからね…」
「…………」
そう柔らかい声で言ったソンジュさんは、僕にその顔を寄せると…はむ…はむとまったり僕の唇を食みつつ、彼の手は、僕のワイシャツ――弾け、中途半端にいくらもとまっていなかったボタンを一つ、一つと開け始めている。
「………、…」
僕、大丈夫、…大丈夫だろうか、いや、僕は、ソンジュさんに抱いていただけるようだ…――妊娠。妊娠…妊娠、しないと、妊娠…ソンジュさんの子を、アルファの子を、僕は妊娠しないと、妊娠……――緊張とはまた違う、独特な身の竦み方…速くなった胸の鼓動が、僕の全身の肌を、乳首の先を、…下半身を、もう空気ばかりが撫でて触れてきているように、もどかしくさせはじめる。
いや、なら……言 わ な け れ ば ――。
「…ソンジュさん…、…」
「ん、なんでしょう…?」
「……僕は…変態…なので……」
言わなければならない。僕は言わなければならない。僕は、言うべきだ。
「…僕は淫乱で、変態のマゾなので、酷く…犯してください…、変態マゾ奴隷の僕なんかに、優しくしてくださる必要はありません――僕をたくさん、いじめてください……」
『お前はオメガだから、アルファに優しくなんてされたら、コロッとみっともなくあの男に惚れるだろう。――ユンファ、絶対に優しいセックスなんてしていただくなよ。…そんなセックス、淫乱で変態マゾのお前なんぞにはもったいない。レイプしてほしいと頼み込んで、変態マゾ奴隷として手ひどく犯されてきなさい。』――ケグリ氏 は、そう僕に命令してきた。
「…レイプ、してください…、レイプで妊娠させてください…、乳首を強くつねられると…すごく感じる、僕はマゾの変態です…、たくさん痛くしてください…、僕は、レイプ、みたいに…犯されて、感じる変態です……」
「…………」
ソンジュさんは何も言わず、する…と、優しい手付きで、僕のひくつくみぞおちを撫でてきた。――結婚、してください。
「……、…、…」
結婚してください…――ユンファさんのことを、本当に、愛しています…?
目を閉ざした僕のまぶたの裏に――微笑み合って並び合う、僕とソンジュさんがいる。
僕が腕に抱いた赤ん坊の髪は、彼と同じホワイトブロンド。瞳は、僕と同じ薄紫色。
「……、…ッ」
あ、ありえない、ありえない、ありえない、ありえないありえないありえない――そんなこと、ありえるはずがない、…僕は誰かに愛されるような人じゃない、そんな価値ない、そんな幸せ、そんな幸せな未来、僕はもう望んでなんかない、――とても怖くて、…望めない。
性奴隷の僕なんかに――そんな幸せ、訪れるはずがない。
「……ユンファさん…大丈夫ですよ。――今は俺、別にユンファさんを抱こうとしているわけではありません」
その言葉にはたと目を開くと…片腕を立て、僕の顔を見ながらにこ、と優しげに笑っていたソンジュさんは、――僕のワイシャツのボタンを、もうすべて開けている。…じゃないか。
「…、…え…?」
「…まあそうですね。しかし、そういったプレイをユンファさんがお望みならば、いずれ。――ですが、ま ず は 着 替 え ま し ょ う と、俺は車の中で言ったじゃないですか。」
「………、…?」
え…、は…――?
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