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              「……ごめんなさい、嫌な声、出して…」    片方の内ももをする、すると撫でられ続けている僕。…ソンジュさんは甘く「ん…?」と僕の耳元で反問する。   「…凄く可愛い声だったよ……どうして、嫌な声だと思うの…? 本当に可愛いよ…」   「………、…」    耳元で可愛い、可愛いって言わないでくれ、可愛くはない。  そんな、どうしてって…一般的に男の喘ぎ声なんて、そう可愛い声だとは言えないからだ。…気持ち悪い声だとか、変な声、耳障りな声だと思われて然るべき声であると思うからだ。――ケグリ氏たちに言われたから、というのがないわけじゃないが、…やっぱり、そればかりは真実だろう。    別に、女性が羨ましいわけではないのだが――それでもやっぱり、女性、あるいは普遍的なオメガの嬌声は可愛い声というカウントをされても、…僕の低い喘ぎ声なんて、下品で、醜くて、誰しもが萎える声だろう。――可愛いと言ってくれるソンジュさんだって、確かに聞いたらわからない。…やっぱり気持ち悪い、と思われるかもしれない。    だからできる限り抑えようと思うのに、すっかり感じやすくなってしまった僕の体は、快感を覚えるたびに僕の喉をつついてくる。――我慢しなければ。   「恥ずかしい…?」僕の耳元でそう囁いてきたソンジュさんの、その言葉の意味がわからないが、…ローブの下で、一度だけ乳首の先っぽを、ピンッと弾かれると。   「……ふ、♡」    恥ずかしい、声が…ということだろうか。別に恥ずかしいわけではないのだが――そもそも何に恥ずかしがれと? という感じなのだが――、彼を不快にさせないように…、彼が萎えてしまわないように…、少しでも綺麗でいたいというか……僕。  ソンジュさんに、やっぱり…どうしても、嫌われたくないんだ。――声を出してしまって、彼に引かれたら嫌なのだ。…可愛いなんて言ってもらえて、そうしたら、ちょっとでも…その彼の中の自分のイメージを壊したくない、とか思っている。   「…………」    僕は眉をひそめて、目を瞑った。  喉の奥で声を殺すのに必死だ。――片方の胸板を乳首ごとまったりと撫で回され、内ももを、鼠径部をするすると撫でられると、あわや声が出てしまいそうで、警戒するために喉がきゅっと詰まる。  乳輪の周りを優しくなぞられている。それくらいならまだ声は出ないが、…どうしても乳首は縮こまって、ぷくりと乳頭が(しこ)ってしまう。   「…ふふ、ユンファさんの乳首が、可愛くぷっくりしはじめたね……」   「…ん、♡ …ッ♡ ふ、…ふク…ッ♡ …〜〜ッ♡」  勃起した乳首の先っぽを、ぴんぴんぴん、と掠めるように何度も指の腹で擦られる。――「乳首、気持ちいいね…?」僕の耳元で囁くソンジュさんは、更にんふ、と笑うと。    僕の耳にぷにゅりと唇をつけ、しっとりとした熱い吐息を、僕の耳の穴にかけながら。   「…声、出していいんだよ…、ユンファさんの可愛くてえっちな声、俺にたくさん聞かせてください…」――この色っぽい低い声は、僕の鼓膜を震わせる。…腰が抜けそうなくらい、ゾクゾクしてしまった僕は、   「…ふァ…♡ んっだめ…駄目です、聞かせたくないんだ…」    ゾクゾクとした震えに合わせて、情けない声を出してしまった。――いや、何よりも恥ずかしいのは、浴室であるからこそ僕のその声が、いつもより大きく聞こえたことである。……ソンジュさんは、僕の下着をするり…下げて、僕の体には大きいそれは、容易くストンと床に落ちていってしまった。   「ふっ…じゃあ出してもらおうかな。いや、しょうがないだろうね、ユンファさんが恥ずかしいなら……」   「……? い、いえ、恥ずかしいわけじゃなくて…」    するりと言いながら両手を引き、キュッと蛇口を捻ったソンジュさん…――シャワーヘッドを持ち。   「……あ…っ? あ…、…ぁ…ソンジュさん…」    ローブを着たままの僕の体に、シャア…とぬるま湯をかけてくる。   「…そんなに、俺に裸を見られるのが恥ずかしい…? ははは、ならその気持ちを尊重して…このまま洗ってあげるよ。」   「…あ、あの…や…、…」    違う、違うって、…なんで、…本当に恥ずかしくなってきた。  白く薄い、シルクのローブ――が濡れると、僕の肌に張り付き、…肌が透けてゆく。僕の体に張り付き、体のラインが浮き彫りになる。  僕がコレを脱がなかったのは、ソンジュさんに裸を見せるのが恥ずかしいからだとか、そうじゃない。そうじゃなくて、彼がスラックスを穿いたままでこの浴室に入ったから、それに倣っただけなのである。   「……耳が真っ赤になってる、可愛いなぁ…そんなに恥ずかしがらなくても、ユンファさんの体にはもちろん、非の打ち所のない美しさと官能性があるのにね…、…」   「……、…、…」    いや、いや、――こうなってから耳が熱くなってるんだ、僕は!   裸より恥ずかしい…しかもちょっと、張り付いたローブが、シャワーを当てられているところだけ水流でふわ、と浮き、離れるとピチッと張り付く。…ちょっと、これ感じちゃ……それにこれじゃ、胸が、乳首が、ニップルピアスが透けて、――お尻にもピチッと張り付いているローブが、…お尻の割れ目まで浮いているのだろう。…ソンジュさんの食指が、つうとそこをなぞってきた。   「ふふ…えっちな眺めだ…、ちょっと、浴槽のヘリに手を着いて…――俺にお尻、突き出して」   「……、…ぁ、はい…」    これ、絶対ソンジュさん、もう僕のこと――抱くつもりだ。  僕は言われたとおり浴槽のヘリを両手で掴み、ソンジュさんにお尻を突き出した。――バックでメス犬みたいな僕を犯すのだろうか。この体勢は、スパンキングが好きな人が好む体勢でもある。…そう思うと、僕の腰はくねってしまう。   「まずは…あのキモいガマガエルのザーメンを掻き出さないとね…、…」   「……ふく…♡ …ふ…、……」    お尻を両手で丸く撫で回してくるソンジュさんに、…期待してキュンキュンと僕の膣口がひくひくする。――早くナカ掻き回して…、と、お尻がもじもじしてしまう。         

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