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ソンジュさんにずっと、くちゅくちゅやさしくナカを引っ掻かれている。ヒダ山も谷も一つ一つまで、丁寧に。
まるで焦らされているようで、頭がぽーっとしてきてしまっている僕は、この疼くばかりのような快感に耐えているからだろうか――きゅっと目を瞑ったとき、ぽた、と涙が下へ落ちた。…もちろん今は、悲しいわけではない。
「…ふ…、ん…♡ ふぅ…ふ……」
自然と眉が寄り、じんわりと全身が汗ばんで熱く、…僕の腰はソンジュさんをいやらしく誘うように、くねくねと揺れている。――口を押さえているのに、どうしても少しだけ声がもれてしまう。
「……可愛い、いやらしく腰が揺れてるよ…、ユンファさん…? ――えっちをしたいときは、俺に…なんて言うんでしたっけ…?」
ソンジュさんは、楽しげなゆったりとした声でそう言いつつ、僕のナカで指を回転させたり、僕の膣壁を指の腹で引っ掻いてくる。――僕はその言葉にハッとして、自分の手の下…唇をぎゅっと噤んだ。
「……、…、…」
たとえば『僕は淫乱なんです。僕はマゾの変態なんです。浅ましくていやしい、僕はどうしようもない、体だけの馬鹿オメガなんです。どうか僕のいやらしいおまんこに、貴方のおちんぽ様をお恵みください』――そういったセリフを、性器を広げて見せながら言うこと。
……よりも、恥ずかしい、あ の セ リ フ ――を。
「……、…、…〜〜ッ」
そりゃあ…もう、欲しいが。
あんなセリフ、言えるわけがない。
僕、えっちしたいな、ソンジュ…?
ソンジュが欲しくて、僕の子宮、きゅうきゅうしてる…?
僕のこと、めちゃくちゃにしてソンジュ…?
いっぱい気持ち良くして…いっぱい僕を愛して、僕のえっちな可愛い声、いっぱい聞いて…?
今日は君といっぱいイチャイチャしたい…?
いっぱい僕の頭なでなでしてにゃ…いっぱいぎゅうって抱き締めてにゃ…僕にいぃっぱい、キスしてほしいにゃ…?
「……っ、…っ」
思わず小さく頭 を振る――うわ無理、無理無理無理、言えるわけがない、…あんなセリフ恥ずかしすぎる、言えたとしても言ったあと「お許しを、アーメン」って付けてしまいそうだ。
「……、…、…」
相変わらず僕の膣内をゆるく動いているソンジュさんの指。…しかし、肉体的にも精神的にも刻一刻と追い詰められてゆく。――いや、…かろうじて言えそうなものがあったことを、僕は今思い出した。
“「…。僕、ずっとソンジュのおちんちんが欲しかったんだ…僕のぉ、おまんこに…あ、ちょっと言いにくそうな感じでお願いします。あとできれば、ソコを恥ずかしそうに広げて。…僕のぉ、おまんこに…君のおちんちん、挿れて…♡ いっぱい奥突いて、いっぱい…可愛がってね…♡」”
僕は浴槽のヘリに片頬を着け、――自分の尻たぶをくぱりと割り開いた。そして、小さな声で。
「……僕のぉ、おま…おまん、こに…ソンジュさんのおちんちん、挿れてください…、君の、ぉ、おちんちん欲しいです…、僕…あの、ずっと、ソンジュさんのおちんちん、…ぉ、おまんこに、欲しかったんです…、…いっぱい…奥、僕の子宮口突いて、いっぱい…僕のおまんこ、可愛がって……」
記憶にあるセリフを読み上げようとしたのに、実際に口にすると上手くできない。…なまじ此処が浴室であるために、どれほど小さな声で言っても、この淫語より淫語なセリフが反響するのだ。
それに、いつも言っている性奴隷的セリフとそう変わらないはずなのに、羞恥心が格段に違う。――顔が熱く、眉を寄せながら泣きそうなほど瞳が揺れる。
「…ふふ、ふ…なんてえっちなことを言うんだ。――でも、性奴隷的なのでそれじゃ駄目です。…」
「………、…っ」
自分で言わせたくせに、…それなりに再現できていたと思うんだが、駄目なのかよ、
そうかわしたソンジュさん、くちゅ、ちゅく…と僕のナカで移動するいもむしのような動きをする、ソンジュさんの硬い指はじわじわと、僕の膣口のほうへ向かっている。――それでも感じてしまう、僕のナカ。…はぁ…ともれる熱い吐息。…涙がこぼれそうなほど潤んでいる、僕の目。…何より、勇気を出して口にしたセリフでは駄目と却下された、この恥をかかされた辛さ。
「……いいの…? はは、ア レ 言わないなら、俺…ユンファさんのナカに入っている精液を全部掻き出して、それで終わりにしちゃいますよ……」
「…ぅク…ッお、お願いします、…僕を抱いて……」
これは我ながら、少し泣きそうな声だった。
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