266 / 689

27※

              「……あ、…」    ソンジュさんは、ひょいっと僕を横抱きにしてきた。   「…まずはユンファさんのナカに、入らせて…?」   「……は…、入るでしょうか、全部……?」    僕のナカに全部…、ちょっと、やっぱり、怖いな…と、不安になってソンジュさんを見上げる――「ふふ…何を怯えてらっしゃるのやら…」と、僕を抱き上げたまま、ソンジュさんは泡風呂になった浴槽へと踏み込む。   「……ユンファさんの記憶にあるかどうかはわかりませんが、俺たち、その実もうすでに、一度は繋がって……」   「あぁ…カナイさん…?」   「…ぁ…覚えていてくださったんですね。ユンファさん」    にっこりと優しく――それでいて頬を赤らめ、熱っぽい水色の瞳が僕の目を見つめてくる。…この目もまた、カナイさんと同じ目だ。  上半身にあるタトゥーを見せられないから、と、黒いスウェットを着て僕とプレイしたカナイさんは――やっぱり、ソンジュさんだった。…しかも、そりゃあ確かに僕には見せられないタトゥーが、本当にあった。    九雀(クジャク)――九条ヲク家の、家紋。  それすら嘘ではなかった。――確かに、僕があのとき、そのタトゥーを見てしまったら…物凄く驚き、そして萎縮してしまったことだろう。   「………、…」    きゅぅぅ…っと甲高い響きが、僕の胸の中に響く。切なく甘いその響きに、眉が寄り――目を瞑る。好きだ。   「あのときも、痛かったな…――()()()だと錯覚するくらい…、……」    ソンジュさんはふふ、と柔らかく笑い、ゆっくりとその場に座る。――ベリーの匂いがふわりと立ち上り、パチパチと泡に沈んでいった僕らの体を、ふわふわとしたあたたかい泡が包み込む。   「何を言ってるの…? ()()()が、ユンファさんの初体験でしょう…?」   「……、…はぁ…っ」    好き。好き、好き、好き――泣きそうなくらい、僕は貴方が好きだ。…ソンジュさんの首にしがみつき、泣くのをこらえて、その人に言う。   「……貴方が好きだ」   「…うん…、俺も、…貴方が大好きだよ、ユンファさん…」    僕はソンジュさんのたくましい胸板に身を寄せ、横向きのままで浴槽の中脚を軽く伸ばした。――やっぱりカナイさんだったんだ。  そして僕は、切実な思いを胸に、ソンジュさんの水色の瞳を真剣に見つめる。   「…僕、頑張ります。痛くても耐える…、だから、どうか全部挿れて……」    こんなに欲しくなる。  好きな人が相手だと、こんなにも欲しくなるんだ。  …そう知れた僕は、すんなりと覚悟が決まった。――覚悟、というよりはむしろ、…どうしても全部欲しい。…全部自分のナカに、ソンジュさんを挿れてほしい。   「…大丈夫ですよ、ユンファさん…そんなに気を張らなくても……」    する…と僕の耳、そのあたりの髪を優しくなでなでとしてくるソンジュさんは、ちゅっと僕の唇にキスをした。   「……()()です。」   「…………」    慣れ。――いや、この雰囲気で申し訳ないんだが、…それは大丈夫とは言わないのである。  ソンジュさんはあたたかいお湯の中で、僕の腰をぬるりと撫でてきた。――この泡風呂、お湯が緩いローションのようにとろとろしている。   「…ね…? もうこれからは、俺以外に抱かれることなんかないのだから。――ユンファさんの体は、もう()()()となるべきなのですよ」   「……、……ッ」    ソンジュさんの形…――ハッと、その言葉の意味を一拍遅れて理解した僕は、…きゅっとナカを締めてしまった。  恥ずかしい気持ちで顔を伏せる僕は、どうしてか眉が寄る。――嫌なのではなくて、本当になぜなのかはわからないのだ、…胸がムズムズして、ソンジュさんにすべてを委ねたい気持ちだというのに。  それなのになぜか、少しも穏やかな感情ではなくて、ムズムズと体が、気持ちが、僕をはやし立てるようなのだ。   「……そ、ソンジュさんの、形……」    つまり…僕のナカ――彼の、…形に。  これから何度も何度も抱かれて、そのうちに――あっさり…すんなり…大きいソンジュさんを、受け入れられる形に。――慣れる、というか…される、というべきか。  いや、全部受け入れられるどころか、…彼の形、ぴったりに作り替えられる――というか。   「…嫌なの…?」   「……、…、…」    僕はふるふる、と顔を横に振った。  …嫌じゃない…むしろ、ぁ…――こぷん、と溢れてきた愛液が、ヒクヒクする僕の膣口が、…そうしてほしい、お願い、とねだっている。   「ふふ…僕のおまんこを、ソンジュのおちんちんピッタリな形にして…――どうぞ、ユンファさん…」   「……は、…いや…やっ」    する、と優しく僕の肩を押したソンジュさん。…重たいまぶたで彼を見上げた僕、…ソンジュさんは僕の目を見て――その切れ長の目を鋭くすると、にやりと妖しく笑う。   「…俺の目を見つめながら…言ってごらん」    僕は脚を、広い浴槽の中で開かされ、ソンジュさんが僕の両脚の間に入り込む。――押し付けられる、熱い先端を。   「……はぁ…、はぁ…、…はぁ……」    恥ずかしい…恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい。  顔が熱い、耳が熱い、首が熱い――それなのに、…腰が揺れてる…、くちゅ、くちゅ、と自分で自分の濡れた膣口に、ソンジュさん自身の先端を擦り付けるようになっている。    僕は眉を顰めながら、震える唇を、動かす。   「ぼ…、こ…そんじゅ……、して……」    泣きそうで、喉が引き攣れてしまっては、ほとんど声にならなかった。――僕としては、それでもちゃんとソンジュさんの言葉を繰り返したつもりであったのだが。……もちろんそれで許してはくれない彼は、僕の膣口にくちくちと先端を擦り付けてきながら。   「…ちゃんと言って…? 言うまで挿れてあげない…」   「……ク、はぁ、…は、…ぼ、僕の、おまんこ…」    ぴくぴくしてしまう、僕の下腹部――子宮。  とろりと蕩けてくる、僕の――頭。…堕ちてゆく、ソンジュさんの妖艶な青空の瞳に、とろけて…堕ちてゆく。    僕は自ら、両手でソコを開いた。   「…僕の…おまんこ、そ、ソンジュの…ぉ、おちんちん…ピッタリの、形に、して……」    するとギラリ…妖しく目を光らせたソンジュさんは、くっと僕のソコに自身の先を押し付けてくる。熱い、嬉しい、幸せ、早く、   「…ははは…、いいよ。じゃあ俺の形ぴったりになりましょうね、ユンファさん…」   「……、…、…」    こぽ…と、僕の体は奥から濡れて、また熱い愛液があふれ出てくる。――ソンジュさんに肩を押されるまま、僕は後ろに手を着いた。  再度、くちゅ…と位置を確認されたあと、グッと押し付けられた熱い肉。――ぐぅ…っとそのまま入り込んでこようと、僕のナカを無理やり押し広げてくる。   「…全部入ったら、大好きだよソンジュって言ってね…?」   「はぁ゛…ッん、んん…っ」    僕は必死に頷くが、…痛い、やっぱり痛い、太くて大きい――僕は痛みに顔をしかめ、目をつむった。…が。   「…ユンファ…俺の目を見てろ…」   「…ッひ…ぁ、は…そ、ソンジュさ……」    突然男らしく命令されて、僕は強ばるまぶたを必死に開き、ソンジュさんを見た。――鋭い獣の目、……瞬間、ぐぷんっと勢いよく入り込んできた。     「…っはア…!♡ ……、…」      あれ、僕、思いのほか――嬉しそうな声を、出した。           

ともだちにシェアしよう!