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「……は、…、…?」
僕は今何が起こったのか、まるでわからず驚いて、目を瞠っている。――そしてソンジュさんも僕の異変にやや驚いたか、僕を横抱きにしたままながらも、ひたりと立ち止まったようだ。
「……? どうしたのユンファ、可愛い声を出して…? 体もビクッてしたけれど…――ふふ…それに、凄く物欲しそうな顔をしているね……」
「…は…、……は…?」
今、な、何が、起こったんだ…?
いや今はそんなことどうでもいい、それはともかく、そんなこと今はどうだっていいんだ、声を出すか、抵抗をして逃げないと、そうしないと僕は今に、…ソンジュさんのつ が い …――つ が い 、という単語が僕の頭に浮かんだ途端、
「……はァ…――ッ!?♡♡♡」
目が勝手に見開かれるほど、強い…うなじにビリビリとした電撃――強い快感――が訪れ、そしてその快感はうなじから背骨を伝って、僕の腰に…僕のナカ、子宮、自身に伝わり――その結果、僕の背中全体が大きくビクビクッと、ビクついた。
「…っは、…はぁ…、…っ?」
正直、今のは、イきそうに、なった…――嘘だ。
信じられないが、しかし確信した。――僕は、僕のうなじは、あ る 単 語 を頭に思い浮かべると、もはやそれだけで快感を生み出すようになっている。――抑制薬を飲んだのに、だ。
「……?」
「…っは、…は……は、……だめ……」
ごろりと力なく頭を転がし、僕は顔を横へ背けた。…揺らぐ世界、酔いそうだと目を瞑る。
どうして…――どうしてなんだ、
頭ではこんなにも否定している。頭じゃ駄目だとよくわかっている。それなのにどうして、――駄目に決まっている、…僕なんかがソンジュさんのつ が い に、
「……ァん…っ♡♡♡ ……〜〜〜ッ!」
僕は眉を顰めながらも、必死に口を強く閉ざした。
駄目、駄目、駄目、駄目、もう考えることすらやめなければならないらしい、――いや、でも…そう、して…しまう……と……。
「……ふぅ……ふぅ……」
犯して――セックスしたい…――欲しい…――ナカに早くソンジュさんが欲しい…――うなじ…思いっ切り噛んでほしい…――――ソンジュさんのつ が い にされたい……。
「…んぁあ……っ♡♡♡」
――違う、駄目、
思考をやめると今度は、体 の 本 能 に侵食された考えがぼんやりと、甘い幻のように浮かんできてしまうのだ。
「……、ユンファさん…? いや…、…? いくらオメガ排卵期がきているにしても…さすがにこ の 反 応 は初めて見たな…――やはり“運命のつ が い ”だからだろうか……」
「……ぁぁ…ッ♡♡♡」
まただ…また、…今度はソンジュさんが発したつ が い という言葉に、僕の体がビクビクと反応してしまった。――彼はむしろ訝 しんでいる様子で、今はなんら艶っぽいことを言ったわけでもない。
だというのに、…どうかしてしまったらしいのだ僕は、僕の、体は。――どうしてだ、なんでなんだよ…悔しくて泣きそうだ――抑制薬、早く効いてくれよ、おかしくなってる、僕の体が、
「…やっぱりユンファさん、ふふ――俺のつ が い になりたいんじゃない…?」
「…ふァ…――ッ!?♡♡♡ …ぁ、…ぅク、ふ…っ」
イ…――イッて、しまった、
ニヤけながらソンジュさんが「俺のつ が い になりたいんじゃない」と言った瞬間、あたかも「そうです、僕を貴方のつがいにしてください」とでも言いたげな僕の体…僕のうなじに、過去一大きいビリビリとした快感が生まれた。
しかも妙なことに、今も尚うなじから背骨がピリピリと気持ち良く、…ビク、…ビクッと腰が跳ねて、じゅわりと子宮が痺れるような快感が広がり、それと同時に、出 し て し ま っ た …――うなじと自身、膣や子宮が神経で繋がっているかのようなのだ…――信じられないが、そ の 単 語 だけで僕…ナカと自身で同時にイッた、…さすがに信じられない。
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