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                     泥酔して千鳥足になったユリメさんを担ぎながら、モグスさんはこのリビングの出入り口の前で。   「じゃあ俺たち帰るからなユンファさん、なんか困ったことあったらすぐ下来いよ。…深夜でも何でも気にしなくていいからよ、変なことになる前にな。」   「ユンファちゃぁん、お家おいで? おばさんともっと飲も?」   「ユリメ。若いのの邪魔すんなよぉ、ほらもう帰るぞ」   「…そ〜ね…またねえ〜、また明日〜」   「はは…はい、ありがとうございました。とても楽しかったです。……」    とろんとした赤ら顔でひらひら手を振るユリメさん、「じゃな」と苦笑いのモグスさん…そういった言葉を交わしながら、この部屋を出ていくお二人と程近い距離で、僕はお辞儀をして返した。  バタン…閉められた扉――僕は一人、このだだっ広いリビングに取り残され、少し立ち竦む。   「…………」    ちなみにモグスさんはもう、夕食の片付けまで終わらせてくださっている。――ソンジュさんはもう一回シャワーを浴びて着替えてくるそうだ。   「……、…」    シャワー、ということは…――俯く僕はぞくりとした腰、自分のお尻を無意識にするりと指で撫でていた。  今夜は…どう、なのか…――いや、彼はワイシャツを着ていたので、ただパジャマか何かに着替えるついでのシャワーだろうか――どうなんだろう…今夜、()()、のか。どうなのか……。   「……はぁ…、……」    ()()だけで少しだけ頬が熱くなる。  でも、一緒のベッドに入ったら…ソンジュさん、僕のこと、触ってきそう…だしな…、今夜は、抱いてくださるのかな…――彼、また僕の体をあちこち舐めて、くださるのかな…また「綺麗だ、可愛いよ」と甘く耳元で、囁いてくださって…あの大きいのを、僕のナカに……――じんわりと僕の下半身が、反応しはじめている――いっぱい奥を突かれてしまったら、そうしたら僕、…いや、でも…今してしまったら僕、きっと彼の()()()に、   「……ぁ、♡ ふっ…んん、…っはぁもう…っ」    だから駄目だ、……は頭に思い浮かべるだけでも駄目なんだよ、気を付けなければ。  気分を変えるためにもとりあえず…と僕は、(きびす)を返した。    ちなみに…僕はやっぱり、ほとんど食べられなかった。  知らない人の前で緊張していた、というのもあるが、何より…――この一年半で慣れてしまっていたようだ。  自分が思っているよりも、あまりにも()()になっていたらしいのだ。精液をかけられた残飯。…体をまさぐられながらの食事。…犬食い。――僕の中にはいまだ、頭では否定してもどうしようもない罪悪感があったらしく、…しかしモグスさんご夫妻もソンジュさんも、そんな僕を見ても、少しも嫌な顔をしないでくださった。    ユリメさんは「アタシのせいか」と茶化すだけで、モグスさんも「おーオメーのせいだ、怖いんだよお前」と、そんな軽口を交わした二人は「まあお腹空いたらあとでまたちょっとでも食べなユンファちゃん、体によくない」「ラップしとくねん」とそっくりな、あたたかい笑顔を僕へ向けてくださり――ソンジュさんは「気にしないで、少しずつです。まだ今日も終わっていませんから」と、僕へ優しく微笑みかけてくださった。 「…………」    あまりにも、あたたかい場所だ。――だが、此処は本当に僕の居場所なのか…いや、本当に僕は此処を、()()()()()()()()としていいのだろうか。           

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