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「……、…」
そういえばケグリ氏は――僕のことが、好き…なんだよな。…するとあの人が求めてきたことを、ソンジュさんにしてみるのはどうだろう?
まあ例えば…裸エプロンで玄関まで行き、三つ指ついてお出迎え…「おかえりなさいませ。お疲れのおちんちんを清めさせていただきますね」と即尺…いや、今“狼化”しているソンジュさんはまず外に行かないだろうし、何よりモグスさんの目もあるか。
なら朝ソンジュさんを起こすときに、「おはようございます。朝一番の濃いザーメンを、どうか僕に飲ませてください…」なんて、彼のモノを優しくしゃぶってあげて……って――そもそも駄目だ、どれもちょっと変態的すぎるというか、性 奴 隷 的 す ぎ る とでもいうべきか。
さすがの僕でも、そんなことを恋人として求められていないことくらいはわかる。…昭和の妻でもしないレベルのことだろう、喜んでもらえるどころか、ソンジュさんにドン引きされかねない。
なら、僕の体を使ってお風呂…それはソーププレイか、恋人的かというとまた何か違うか。…食事を作る…それも駄目だ、僕よりもうんと料理上手なモグスさんがいらっしゃる。…料理を口移しで食べさせる…今“狼化”しているソンジュさんにそれは難しい――いやらしい下着を着て、「抱いてください」…いや、その下着は捨てられてしまった。
あとは…「旦那様」と呼ぶ…いや、夫である人ならばともかく、恋人…彼氏にそれはやりすぎだ。なんなら、冗談だとしか思われないことだろう。
ソンジュさんが眠るまで愛撫をする…マッサージをする…いつでも抱いてもらえるように準備――どれも、駄目だ。駄目だ、やっぱり。
「……、…、…」
どれもこれもきっと、性 奴 隷 的 だ。
僕が思い付くことはどうしたってすべて、性奴隷がご主人様にするようなことである。――恋人として、という前提があると、どれもこれもやりすぎというか。
――本当に難しいな。
「…………」
僕が何をしたら、どうしたらソンジュさんは、喜んでくださるのだろう…――。
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