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「あぁ綺麗だ、本当に綺麗だ……」  と俺は敬嘆(きょうたん)をくり返しながら、ユンファさんのあまりにも白い裸体もあますところなくキスをしていく。  ――俺は先ほどユンファさんの膣を、そのなかも外もたっぷりと舐めて堪能しつくした。  ぬぷ、ぬぷと尖らせた舌を挿抜(そうばつ)してみたり、あるいはそのぷるぷるとやわらかな膣口を押しひろげるように、浅く差しこんだ舌先でゆっくりと()をえがいてみたり、はたまた、差しこめるところまで差し込んだ舌をそのまま上下左右に揺すってみたり――膣口をぺろぺろと舐め、舌先でつつき、あふれ出る愛液をすすり、ついでにアナルや会陰(えいん)、小ぶりな愛らしい薄ももの陰嚢も舐めすすり…――それも、好きなだけ彼のたっぷりとした尻たぶを揉みしだきながら――するとそれはいよいよ俺の、彼への真実の愛の証明になった。  ……らしいが、といって何も俺は愛に()けて初恋の美男子のそこを舐めまわしたわけではない。  いや、もちろんその動機こそ間違いなく愛ゆえである。だが、愛していればこそ、不潔と思ってもこらえてそこを舐めてあげよう、といういわばカッコつけな「愛のポーズ」を示したかったわけではなく、むしろ気色悪いといわれても否定できないような動機、…すなわち、単純に舐めたかったから好きなだけ舐めただけである。――数多の男に穢されたその場所に舌を触れさせること、ひいては男らの体液をも体内に取り込むことを、そもそも俺は彼が思うほど気にしてはいなかった。  かえってつとに実現を望んでいた、初恋の美男子の恐ろしいほど綺麗な、官能的なその場所をやっと舐められる、という悦楽――それから舐めても舐めても溢れでてきてとまらない蜜、まるで桃の缶詰めに満たされたシロップのような風味の愛液、しかし薫りは桃のタルト、その心的のみならぬ単純な味覚的・嗅覚的な美味――そしてひくっひくっと収縮するその場所、びくっびくっと跳ねるその細腰、「ぁ、♡」とか「んん…っ♡」とかとしばしば聞かれた愛する美男子の可愛らしい嬌声、…  ……たしかに俺がそこを舐めたことで、『(洗えどひと際男らの体液の残っているだろう)なかまで舐めてくださるなんて』といじらしい涙を流したその人に、その涙に(こた)えたいという情熱的な気持ちはあったが、それ以前に――俺はどだい男らの存在など忘れてしまうほど、月下(ツキシタ)夜伽(ヤガキ)曇華(ユンファ)その人に夢中になっていただけなのであった。  いや、しかし「だからこそ」だったのかもしれない。 「好かれたいから」というある種の下心をもって、そこをちょっと舐めて終わり、ではなく――いかにも美味(うま)そうに、興奮しながら、がっつくように長いこと俺がユンファさんの、その彼にとっては悲しいほど不潔と思われてしょうがない場所を、夢中になって舐めまわしていたからこそ、彼はなおのこと愛される幸福という砂糖漬けの快楽に、涙するほど、その身も心も浸されることになった、のだろう。  ただ、ユンファさんのその嬉し涙はやがて、やるせない体の疼きに溶け入って――混ざりあったそれらは、次第に愛する俺の肉体を(こいねが)う愛の欲求へと移り変わった。が…、  ある種美男子のことを(かえり)みるのをさえ忘れるほど、無我夢中になっていた俺は、…そうして――ほしいまま――舐めまわしているうちに、彼の膣がなかも外もとろけるようにもっとやわらかくなり、ことその穴も一センチ弱も先ほどよりもう少しひろがったのにさえ気がつかず、…それでもなお舐めたいままそこを舐め続けていたので、 『ふ、♡ 〜〜っあ、♡ あの、…』  とその人がいよいよ切ないかすれ声で言いながらお尻を前に引き、すなわち俺の口からその膣口を離しながら…――すると、つー…と俺の舌先と彼の膣口とのあいだには、唾液か愛液かもわからぬ透明な糸が引いてたわみ、やがてぷつ…と切れた――、 『…ご、ごめんなさい…、お願いします…、も、もうそろそろ…く、下さい…――流石にもう、十分解れた…かと……』  そう恥ずかしそうに俺を求めてきたことで、やっと目の前のひく、ひくと穴を閉ざしては開くそのつやつやとした綺麗な桃色の膣口が、たしかに先ほどよりも――()()()()()()――ほぐれていたらしいのが目に入り、そこではたと俺は我にかえったのだった。  ……ましてやユンファさんは、ただ舐めまわされているばかりでは、ひたすら焦らされているようだったらしいのである。――その瞳を覗き見たところ、いわく――もとより快感がなかったのではない。やわらかいぬめった舌が神経の密集したそこらに這うたり差し込まれたり、こすったりされるのは非常に気持ちがよかった。  だが、それにしてもなかに差し込まれるといったって舌の長さなどたかが知れており、舌の太さもまたたかが知れており、同様にそれの硬さもたかが知れており、――するとそこを舐めまわされれば舐めまわされるほど、俺の舌の届かない奥のほうがツンとしてきてたまらなくなり、また膣口から舌の届く浅いところまでも、もっと太くて硬いものを求めてうずいてきて、…  ましてやそれと同時に、俺にお尻を揉みしだかれるその快感も、もどかしいほど直接的ではないながら子宮から膣内、膣口、会陰とそのすべてにまんべんなく(焦らすように)起こっていたばかりに――正直気持ちよくってたまらないし、自分のそんなところを、こんなに夢中になって舐めてくれるのも幸せでしょうがなかったが、…さすがにもう、我慢できない……。  ……ということで、ユンファさんは『そろそろ…』と羞じらいつつも、いよいよこらえ切れずに俺を求めてきたわけである。 『……これは大変失礼いたしました。ユンファさんの体があんまり魅惑的だったもので、つい我をも忘れて夢中に。』  と、しかし彼のそれに応じたはずの俺は、それではいざ、と挿入に挑むため――。  まずは自分のカッターシャツやスラックス、衣類のすべてを急ぎ脱ぎ捨て、全裸になった。  それから四つんばいのままのユンファさんの腰を優しく掴み、後ろに引いて一旦座ってもらいながら、その人の体を自分の両脚のあいだにかかえ込み、そして、そのとろめいた切なげな顔を真横へ向けてもらって――『腰に()()()()()()が押し付けられて、』とびっくりしながら恥ずかしがった、可愛い彼とキスをしながら――、後ろからその人のチャイナドレスを丁重な手つきで脱がせていった。  まずはこのチャイナドレスの着脱の(かなめ)となる彼の右脇の下のファスナーは、すでにあばらのあたりまで下げられていた――そのためにぺろりと布がめくれてはだけていたその人の胸もとは、すでにあらわになっていた――が、それを更にジーー…と腰骨上のスリットの始点(月下美人を模した銀の組紐飾りの下)まで、すなわちそのファスナーの終点まで下げてゆき、…そこまですればいよいよあとは袖だけと、キスは続けたまま、さりげなくその長袖から彼の腕を一本ずつ抜いてあげて……。  そうして俺がそれを脱がし終えたなり、自ら唇を離したユンファさんは、とろんとゆるまった両目で俺の青白く発光する瞳をそっと見てから、ふと愛らしい羞じらいに長いまつ毛を伏せ――静かに前に両手をついて、また四つんばいになろうとした。  つまり彼はそのまま後ろから挿れてください、と俺を求めようとしたのだが、…俺は彼が四つんばいになろうとしているそのさなか目に映った、そのあまりにも白くなめらかな骨ばった背中に、たまらなくなり――彼の脇の下からまわした両手で――その細い裸体に裸体でしがみつくように抱き寄せ、…その浮きぼりな白い肩甲骨の丸い角に吸いついた。 「……ぁ…っ?♡ …っ??♡」 「……っ、…何て綺麗な背中でしょう、…」  それはまさに「あの日」の美しい蒼白い月華で造られた肉体だった。――「あの日」の夜、自室の机に着いた俺が見上げた窓越しの満月――中秋の名月であったあの夜の満月、その窓から()しこんだ(まぼろし)の蒼い月の光は、十三歳の俺のうっとりと月を見上げる顔を、その水色の瞳を照らした――いいや、だがそれはあくまでも幻だった。  というのも、その蒼い月の光はその日の夕方すでに俺のこの両目に宿っていた。だから――「あの日」の月が満月であったことこそ事実だが、その日の実際の月の色は蜜が浸潤したかのようなクリーム色だったというのに――俺のこの目に宿った月華は、その満月を蒼い月に、それもその月のまわりに飛び交う流星の幻をさえ見せたのだ。  そして十三歳の俺の生気の光を宿さない瞳に射した、美しい蒼い月のまばゆいほどの――しかしどこまでも優しい――月華は、十一年前の「あの日」以来、俺のこの目で生きつづけた。…俺とともに、生き続けてくれた。  この美しい細い肉体はそれでできていた。まさにその至尊(しそん)の蒼白い月華でできていた。  (はなは)だしい興奮、欲情、…それらはすなわちエロス()だった。  それらもまた生きるということのうちの一つだった。――俺は、ユンファさんは、生きていた。  それで俺はまた初恋の美男子を顧みることを忘れ、――我をも忘れ――しゃぶりつき、舐めまわし、キスをした。 「あぁ綺麗だ、綺麗だ、本当に綺麗だ……」  (からす)の濡れ羽色の艶美(えんび)な髪、その後ろ頭にちゅっちゅとキスをし――唇で下へたどる、長めのえり足の先まで――だが呪わしい赤い(かわ)の首輪には()みつき、…だのに、すぐにその憎しみさえ忘れてまた夢中で――うなじの下、骨ばった広い肩、肩甲骨にも、その骨のういた背筋にも、腰の裏にも、――ああ!  白い、白い、美しい、美しい、ふくよかなやわらかいお尻、太ももの裏、膝の裏、ふくらはぎ、桃色のかかと、足の裏、足の指の腹、……  それからこの真っ白な美しい月の体をあお向けに、繊麗(せんれい)な長めな鎖骨、肩、細いが筋肉質な二の腕、肘、上腕と唇でたどって、手のひらをすすり、指先の一本一本にまで吸い付いて、薬指の先に甘噛み、…胸板、平たい縦すじの浮いたお腹、おへそ、あばら、わき腹、…  キスをして、舐めまわして、しゃぶりついて――。 「ユンファさんはどこもかしこも本当に綺麗だ、…」  綺麗だ、綺麗だ、綺麗だと何度も繰り返しながら、…つるんとした恥骨に、前ももに内もも、膝に、(すね)に、足首に、くるぶしに、…――ああ、何もかもが夢のように美しい! 「……っ♡」  そして大切に両手で包みこむように持ち上げたその骨ばった足の甲に、俺の敬虔(けいけん)な唇がちゅ、と(げぼく)のキスをすると、その(うるわ)しい白い足がぴくんっと可憐に跳ねる。  ……ちらりと上目遣いに見た、今にも泣き出しそうな月の男神の顔はうす赤い。――この二つの瞳の青白い光を頼りに、俺を見下ろしているその含羞の潤みを帯びた伏し目は、信奉のあまり服従のキスをその全身に、しかし、傲慢にもそれによって神を我が物としようとしている欲深な俺のことを、『まるで…王子様だ…』と羞じらいまじりに捉えて、うっとりとしている。  ――『まさか…僕の、…性奴隷の僕の足にまで、キスをしてくださるなんて……。  やわらかなあたたかい唇、濡れた熱い舌、優しく気遣うように触れてくださる指や、手のひら――今も足の甲にされたキスの、しっとりと(くすぐ)ったいような感触が…――僕の全身に…貴方の感触が、残っている……。  そうしてまるで僕を、…性奴隷の、僕を、高価な宝物か何かと勘違いしているかのような、貴方の優しい全部に――体中が、内側も外側も、熱くて熱くて…、  僕の体は、すっかり開かれてしまった。  もう、さっき甘噛みされた指の先まで震えてしまって、少しも力が入らない…――』 「……ぁ、♡」  ちゅ…とキスをした俺の唇の先で、そのつま先がぴくんと少し丸まる。  そして俺のことをじっと、次にはどこか恨めしそうに見てくるその潤んだ濃い紫の瞳は、切なげに小刻みに振動している。 「……、…、…」  ――『今も足のつま先に触れた、貴方のやわらかな唇の感触が、その優しい感触が僕の胸の中にまで満ち満ちて、なぜだか泣きそうになる……。  でも、…僕の体も…頭も、そして心も…体の芯から火照って、じくじくとその芯が、僕の心臓の鼓動に合わせて疼いて……早く貴方にその芯を穿(つらぬ)いてほしいのに……もう、僕はもうこんなにも貴方が欲しいというのに…――とろけきってしまった僕の体は、内側も、外側も…こんなに、貴方を受け()れるためだけに、こんなにとろとろに濡れそぼっているというのに…――僕の全身は今、心地いい甘い気だるさにのしかかられて、もう何にも抗えない…逆らえない…、貴方を受け容れることしかできないくらい、どこにも力が入らない…、本当に、本当に無力になってしまっているというのに…――ただただ優しい貴方だけを求めて、…貴方だからこんなに無防備になれて、…貴方のおちんちんだから体のなかに受け容れたい、…そうしてとろけきった僕の心と体は、ただただ…――貴方が自分の奥の奥まで来てくださるのだけを、ただただ…さっきからずっと僕は、ずっと、ずっと、こんなにも待ち望んでいるというのに……。  それなのに……どうして……貴方ときたら……』  きゅっとユンファさんの眉が悲しげに寄る。 「っもう…お願いします、お願い、…もう、もうお願いだから、…」  そして俺をじっと見下ろす、その切なげに細められた切れ長の目から、ほろりと涙がこぼれ落ちる。 「僕…あな、貴方が、もう欲しいんです、どうしようもなく、――だからもう…もうお願い、もう下さい、…お…っお願い、貴方のおちんちんをなかに挿れて、…もっもうこれ以上、…これ以上の意地悪、しないでください、…」 「……、意地悪……」  俺はきょとんとした。――どこまで可愛いの?  ……もっともそんなつもりではなかったが、たしかに結果的には、俺はユンファさんに意地悪をしてしまった。と反省しつつ、そっとユンファさんの足を黒いベルベットに置きなおしながら――しかし俺を欲するあまり泣いてしまった彼が、可愛くて可愛くてたまらず「んふふ…」と含み笑いをこぼし――、 「これはまたまた大変失礼いたしました…、いえ、そんな、意地悪をしようだなんて、まさかそんなつもりではなかったのですけれど…――クク…しかし、あまりにもお美しく色っぽいユンファさんの肉体には、ついついまた無我夢中に…、……」  ――それからやっと、あまりにもいじらしく泣いている美男子のことを、組み敷いた。  そして俺はユンファさんの涙に口付け、吸い取り、舐めとり…「ごめんなさい」と再度優しい声で謝って――次には「いえ…僕も我儘を…」とほほ笑んだ彼の唇をわがままなものか、と捉え、そのまま唇をまったりはみ合うキスをしながら――その人の鎖骨の上あたりで、さあ、スキンを着けよう。とそれの小袋の封を切ったが……、  そのとき、そのかすかなカサカサとした音に気がついたユンファさんが、パッと俺のその手を熱い片手でつかんできたので、俺は驚き――ふと唇を離して見ると、…彼はその真っ赤になった顔を切なげに曇らせ、 「あの…いえ、生…、生で……その…ゴム、要りません…、生のおちんちん、挿れてください……」 「……、…」  俺は面食らって、思わず硬直してしまった。

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