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第18話 最終話 R18 

「ん、ふぁっ」  再び胸に舌が這い、甘噛みされる。そこを強く吸われると背が仰け反ってしまい、あろうことか熱をもち硬くなった陰茎をセオドアの腹に押し付けてしまった。その刺激は強烈で腰が震える。 「んんっ、セオドアっ……」 「ああ……気持ちいな」 「ん……」 「……オルビス、私もいいかい?」  息を詰めるエルビスが自身の猛ったそれをオルビスの陰茎と重ねた。 「ああっ、ん……」 「オルビスっ……」  大きなセオドアの手にまとめて握られ、上下に擦られると二人の蜜が混ざり合い淫猥な音を響かせる。  時折先端を爪先でグリグリ責め立てられると、何かが腰の奥からせり上がってくる。 「ああ、セオ、ドアッ……もうっ」 「オルビス、いきそう?」    喘ぎでうまく言葉にならないオルビスは、コクコクと頷いて限界を訴える。  視界が滲んでいるのは涙が出ているのかもしれない。  もう羞恥心などどこかへ消え去り、ただただ快感を追い求めていた。 「いいよ。一緒にね」 「あっ、う……んっ」  セオドアの手の動きが速くなり、二人の荒い息遣いと湿った水音だけが響く。  同時に貪るように口づけられ、さらに高みへと導かれていく。  首筋にピリッとした痛みを感じ、痕を付けられたのに気づいたがもうどうでもよかった。  ただただ、気持ちが良くセオドアの手の動きに合わせて腰を揺らした。 「あぁぁっ……!!」 「クッ……!」  ほとんど同時に熱い白濁を白濁を吐き出した。 「オルビス……」 「セオドア……好き……」  荒い呼吸が整うと、オルビスは急な眠気に襲われる。  オルビスは襲ってくる睡魔に抵抗しようとしたが、瞼が重い。 「眠っていいよ。あとは私に任せて」 「ん……でも……」  それ以上は言葉を発することもできず、ゆっくりと瞼を閉じた。  ※  ふわりと額に柔らかい感触がして意識が浮上する。 「……セオドア?」 「すまない。起こしてしまったね」 「いいえ、もう朝ですか?」 「ああ、でもまだ早い。ゆっくりしてからでいいよ」  布団はさらりとして、肌にべたつきもない。  きっとあの後セオドアが世話をしてくれたのだろう。  昨夜の情事を思い出して頬が熱くなったオルビスは、掛布団を引き上げて顔を隠す。  ああ……恥ずかしい。  初めてだというのにあんなに乱れて。恥ずかしい声だって出ていたはずだ。   「……は、恥ずかしいです……」  布団の中からそう呟くと、オルビスの笑い声が聞こえる。 「何を恥ずかしがる。とても可愛かったよ? それに私は君と触れ合えて嬉しかった。オルビスは違う?」 「う……嬉しかったですけど……」 「では問題ないな。次は最後までしてもいい?」 「っ……」 「だめ?」  そっと布団を剥ぎ取られ、顔を覗き込まれてしまう。きっと真っ赤だ。 「……だめじゃないです」 「よかった。今夜からは一緒に寝ようか」 「……はい」  小さな呟きはしっかりと届いたようで、セオドアは満面の笑みだ。  こんな笑顔を見られるのは恐らく僕だけだろう。なんだか贅沢だな。  王太子という鎧を脱いで自然体でいられる時間を守りたい。そこに自分がいることが嬉しかった。 「オルビス、ちょっと動かないでね」 「え?」  セオドアの手がオルビスの首に回る。  首から下げられたのは革紐のペンダントだった。先には透き通ったブルーの石が付けられている。まるでセオドアの瞳のように美しかった。 「これ……」 「昨日、オルビスが絵具を選んでいる間に買ったんだ。私はこれを」  そうして見せてくれたのは、オルビスのと揃いのペンダント。少し青みが入った茶色の石が付いている。オルビスの瞳とそっくりだった。 「嬉しい……。大切にします」 「ああ。私は何があってもオルビスを手放さない。オルビスも離れないでくれる?」 「もちろん。僕に飽きたと言っても付き纏いますよ?」 「ははっ、飽きることなんかないさ。もしそんなことがあれば私を引っ叩いてくれ。きっと正気じゃないんだろうから」  クスクスと笑い合う二人の間には温かい空気が漂っていた。  愛おしそうに頭を撫でてくるセオドア。オルビスはその胸にそっと頭を寄せた。  この優しく愛おしい時間がずっと続きますように。  そう願いながら。  完

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