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女性向け風俗No.1の先輩に処女を奪われました①
「まひろ最近頑張ってるね。指名数も売り上げも順調に伸ばしてるし。すごいじゃん」
「わ、No.1のアキさんにそう言ってもらえるのマジで嬉しいです……!」
仕事帰り。たまたま事務所で顔を合わせたアキさんに飲みに誘われ、リードされるがままに着いてきたのはまさかのアキさんの自宅だった。モデルルームのような広く綺麗なリビングにすっかり萎縮して自然と肩に力が入る。
さらに目の前に座るこの相手は俺が働く女性向け風俗のNo.1セラピストであるアキさん。新人の俺とは桁違いの人気と売り上げを誇る雲の上のカリスマに緊張して、さっきからグラスに伸びる手が止まらない。
「一ヶ月だっけ?どう?慣れてきた?」
「まだまだ全然です!未熟な所だらけで、俺なんか、えっと、」
「ふふ、緊張しすぎ」
言葉に詰まってしまう俺にクスクスと笑みを溢すアキさん。その整った綺麗な顔立ちに思わず目を伏せてしまう。イケメンすぎないか?
入店して一ヶ月。他のキャストとは軽口を叩き合えるくらい打ち解けてきたが、毎日予約がぎっしりでお茶引きと無縁のアキさんとは顔を合わせる機会は全く無い。つまりこのビジュの良さに全く慣れていない。
バクバクとうるさい心臓の音をかき消すためにまたグラスの酒を一気に飲み干した。
「ペース早いね。もっと薄めに作ろうか?」
「いや、濃い目でお願いします!早く酔っ払って意識飛ばしたい……!」
「えー、なんで?こんな機会めったに無いんだしゆっくり楽しもうよ」
「No.1のアキさんと飲んでるんですよ!?緊張マジやばいんですって!」
「ふ、まひろうける」
必死に訴える俺の言葉なんか気にしないみたいに、アキさんは鼻歌交じりに次の酒を作り始める。
その長く細い指先がガラスのマドラーをくるくる回すのをぼんやり眺めていると、グラスから引き抜かれたマドラーがふとこちらに向けられて。
「口開けて」
「え……」
「まひろ。口、開けて」
「っ、ン、ぁ……」
優しい笑みと穏やかな口調。それなのに有無を言わさぬ絶対感に押され、無意識に開いた唇からマドラーがあっけなく侵入する。
かすかに酒の味がする。熱い口内を冷たいガラスの棒で優しくかき回され、酔いも回ってぼーっとしている頭にさらに甘いモヤがかかる。
「んぁ、っ……ン、あぅ、んんン」
「ふふ、マドラー美味しい?」
「あぅ、う、ンんん……ンっ、ン、」
「もっと口開いて。ちゃんと中見せて……そう、上手だね。いい子。あは、口の中もうトロトロじゃん」
「ンんっ、あっ、アキさ、んっ……ンあぁ」
細いマドラーでぐちゅぐちゅと口内を犯され、腰の力がどんどん抜けていくのが分かる。いきなり訪れた甘い快感に、訳もわからないまま縋り付くようにアキさんの手を掴む。
アキさんはそんな俺にクスクスと笑みをこぼして、
「森本さんにもそんなメス顔見せたの?」
「っ、え……」
「あれ?2週間前のお客様なのにもう忘れたの?女性のフリして予約した男性客だよ。覚えてない?」
アキさんの言葉に一気に血の気が引く。
森本さん。確かに2週間前だった。店のホームページを見て俺を気に入ってくれて、出禁と罰金を覚悟で指名を入れてくれた男性客。
でも俺はその規約違反を店には報告せず、この件については誰も知るはずが無かった。
「な、んで……知って……、」
規約違反。高額な罰金。森本さんも出禁。それだけじゃない。俺も、クビになって、
ぐるぐると頭の中を駆け巡る最悪な想像。顔を真っ青にして固まってしまった俺に、アキさんは目を細めて微笑む。
「大丈夫、俺以外は誰も知らないよ。俺もたまたま気付いただけだし、もちろん店にも報告しないよ」
「っ、あ……ご、ごめんなさい、俺、」
「怖がらせちゃったね。ごめんね。大丈夫大丈夫、」
どうやら最悪の事態にはならないらしい。アキさんの気遣いに咄嗟に謝罪を口にして頭を下げる。大丈夫、と優しい声とともに頭をポンポン撫でられ、一気に全身の力が抜けた。
と、それを見計らったかのように軽く肩を押され、ふわふわのカーペットの上に押し倒される。
「わっ、え、アキさ、ん……?」
「答えてよ、さっきの質問。もう忘れたの?」
「な、何……」
「メス顔。お客様にも見せたの?」
クスクスと意地悪そうに目を細めるその整った顔と真っ向から視線が絡んでしまい、真っ赤になった俺の顔を長い指がするりと撫でる。
「ねえ、男性のお客様と何したのか、俺にも教えてよ……」
近付いてくる唇に思わず目をぎゅっと閉じたが、その唇が重なることはなく、ただ俺の耳元をかすめるだけだった。
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