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「い……いやだ……」 俺は泣きながら、櫻太の顔を見つめた。 「嫌いになんてなりたくない…っ」 結婚しようって言ってくれた時は 世界一の幸せ者だと思った。 呼吸すらままならなくてしんどくて、 いつ死んだっておかしくない状況の中でも その顔が見えれば、 生きている意味があったと思えていた。 そんな気持ちがもう今は、 少しも、 思い出せなくて。

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