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俺は俺が嫌いだった。 自分を感じる度に、 嫌いすぎる一族の一員だと思い知らされているみたいだったから 自分の事を知りたいなんて思えなかった。 だけど莉衣が教えてくれる“俺”は 一族の誰かが聞いたら、 クズだの出来損ないだの言われそうな 俺で。 俺は、莉衣が知ってる俺のことを、 段々好きになれていた。 そしてそんな、莉衣のことも。

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