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第6話 征服者
腰を抱えられて、一方的に揺さぶられる。
「あっ……、あっ……っっ……っ……っ」
そのたびに、声が漏れる。手が腰に食い込むようで、酷く痛い。健太郎の性器を受け入れる奥は、擦られ、突かれる度に、ぐちゅっ、と音が漏れる。水音、荒い吐息、甘い嬌声、肉を張る音。
「あ……っ……は……っ」
「……ああ……やっぱ、お前のナカが一番良いわ」
満足そうな声で、健太郎が呟く。
「ほら、ナカ……ぐちゃぐちゃだ……」
言われて、ナカが収縮する。
「っ……」
「……お前、ホント……Mっ気あるよな。……今、締まったの……解る?」
恥ずかしくて、顔を背けたが、無理矢理顎を掴まれて、顔を向けさせられた。
「っ……」
「……ま、俺は良いけどね……、ほら、締まったほうが、気持ち良いし」
健太郎が、覆い被さって、キスをしてくる。
唇を啄むように、軽くキスをしてから、そのまま、深くなっていく。唇の間に舌が割り入れられて、光希の背中が跳ねた。けれど、健太郎は気にした様子はない。むしろ、その反応は、健太郎には好ましいモノだっただろう。
口蓋を舌先で撫でてから、一度、健太郎は唇をはなした。
「……凄いことになってるよ、ナカ」
「っ……っ!!」
「キス……好きだもんな、お前……」
ナカが、健太郎の性器から、一滴残らず精液を奪い尽くすように、うねっているのが、光希にも解る。
(こんな……反応、したくないのに……っ)
反応はしたくない。健太郎をみすみす、悦ばすだけだとは知っているからだ。
「あ……っあああ……っ」
ゆっくりと、健太郎が腰を動かす。
内部が、ゆっくりと擦られる。つま先から、頭の天辺まで、ゾクゾクと震えが駆け巡っていく。どうしようもない快感に、意識が飲み込まれそうになった。
高い波が一気に押し寄せて、まともな思考を、全て飲み込んでしまうようだった。
「あっ……あああああ……」
「……お前一人で、気持ち良くなるなよ……ほら……少し、動くぞ」
健太郎が、光希の脚を抱えた。身体を折り曲げられて、圧迫感に小さく光希が呻く。
「うっ……っ」
「……この体位……、俺、好きなんだよね。……やっぱ、顔を見ながらヤんのが一番だし」
健太郎が、一気に根本まで自身の性器を光希に打ち込んだ。
「っ………っ!!!!」
息が、詰まった。衝撃に、息が出来なくて、一瞬、目の前がぐらりと傾ぐ。
「……あー……、やっぱ、お前のナカ、一番良い」
味わうように呟いて、健太郎が内部を味わっている。
「あっ……っ、あっ……、ああああ……っ」
「……光希、気持ち良い?」
健太郎が耳元に問いかけてから、その耳朶を噛んだ。
「っ―――――っ!!!」
背中が反り返るが、健太郎に押さえつけられて、反応は中途半端に終わった。
「光希」
甘く声を掛けられて、光希は唇を噛む。健太郎は、最中に、気持ち良いか、聞いてくることが多かった。
反応で、感じているかなど解るだろうに、言葉で言わせたいらしい。
「……気持ち良い?」
もう一度聞いてきたので、少々うんざりしつつ「気持ち良いよ」と、ぞんざいに答えた。
気持ちは良い。
身体は、蕩けてしまいそうだった。触れられているところが、全て、気持ちが良くてたまらない。肌も、ナカも熱くて、たまらない。なんとか、なけなしの理性で、声を殺しているが、甘い声がひっきりなしに漏れそうだった。意識は混濁しているし、本当は、しがみついて、自分から腰を振って、もっと、快楽をせがみたかった。
ただ、それをしないのは―――なんとなく、今日のやりとりが嫌だったからだ。
「……本当に?」
「ああ……気持ち良いよ……っんんん……っ」
「なら良かった」
健太郎が、唐突に、光希から離れた。ずるり、と健太郎の性器が、出て行く。入ってくるときより、出て行くときのほうが、亀頭に擦られるのを強く感じて、光希が大きく喘いだ。
「あああああ……っ」
「……俺も、一旦、イっとく」
引きずり出した自身の性器を手で持って、健太郎が、光希の奥へ精液を掛けた。
ナカへ出すと処理が大変だというので、ナカへ直接出すことを、健太郎はあまりしなかった。その代わり、今まで、散々弄んで、まだ、ぽっかりと空隙を開けているアナルへ、精液を掛けるのを好んでいるようだった。
生暖かい体液が、アナルへ掛けられ、どろり、と重力に引かれて堕ちていくのをぼんやりと感じながら、光希は、その行為を、征服者が、その証の為に行うようなものだと思いながら、ぼんやりと、されるがままになっていた。
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