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第14話 僕たちの関係 【完】
「…て事で、僕と生徒会長付き合ってるんだ。」
僕はドキドキしながら親友の透に話した。いつかは話せたらと思っていたのだけど、そのタイミングは案外早くやって来た。今朝教室に入るなり透に拉致されて、渡り廊下に連れてこられていた。
「奏、俺には本当の事言ってくれ。お前、その、会長に酷い目に遭わされているのか?」
僕はキョトンとして透を見た。眉を顰めて僕を心配げに見つめる透は何か大いなる勘違いをしているみたいだ。一体どうしてそんな話になっているんだろう。
「最近お前はぼうっとしてるし、しょっちゅう会長に呼び出されてるだろ?俺聞いちゃったんだ…。副会長が会長に奏の事いい加減にしろって。やり過ぎだって言ってるの。お前困ってる事になってるんじゃ無いかって。」
僕は途端に顔が熱くなるのを感じながら透に言った。
「あの、それは全然違うって言うか。透の勘違いだよ。会長は僕の事凄く大事にしてくれてるよ?」
するとハッとした様に目を見開いて、僕の腕を揺さぶって言った。
「お前、もしかして会長と、その…。」
急に言葉が詰まる透に、僕はにっこり微笑んで言うしかなかった。
「…うん。僕と会長は付き合ってるんだ。おかしいよね?男同士で。でも中学の頃から僕会長が好きで、未だに信じられないけど何故か付き合う事になっちゃって。ふふ、だから透が心配する様な事は何も無いよ?」
どう受け止めるべきか、戸惑う様な表情をした透は、何か気づいた様に僕を見ていった。
「…そう言えばあの時。奏が体調崩した時、俺お前の部屋の方へ向かう会長と擦れ違ったんだ。あれって、お前の所へ行ったのか?」
僕はしどろもどろになって頷いた。すると透は全てを察した様に顔を赤くした。
「マジか…。そう言う事なのか?はぁ。いや、困った事になって居ないんなら良いんだ。まぁ、そんな顔をしてるところを見ると、上手く行ってるみたいだな。俺はその、男同士だからとか偏見はないからさ、奏が酷い目に合ってると思ってどうにかしなくちゃって思っただけだから。」
僕はにっこり笑うと透にありがとうと言った。本当に僕の親友はお父さんだ。僕たちはチャイムに追い立てられて、慌てて教室へ戻った。
そんな話を、僕の部屋に入って来るなり抱きしめた貴正に一応伝えたんだ。すると、貴正は眉を顰めてベッドに座ると、僕を膝の上に跨らせて言った。
「奏はクラスの奴らと仲が良すぎるんだよ。俺お前を迎えに行く度に、可愛い顔で笑ってる奏の取り巻きを睨んじゃってた。特に浅野だっけ?仲良いだろ?本当は奏の事好きなんじゃ無いか?」
僕は呆れた様に貴正の顔を見つめて、両頬を引っ張って言った。
「睨んじゃダメでしょ?それに僕たちは友達なだけで、別にお互いに邪な気持ちは無いからね?貴正だって安田君と仲良しだけど、そう言う気持ちがあるの?それと一緒だと思うんだけど。」
貴正は僕の指から自分の頬を救出すると、眉を下げて呟いた。
「奏が可愛いから、心配なんだよ…。もっと他の奴らにツンとしててくれたら良いのに、奏はいつもニコニコしてるからさ。あー、でもそれが奏の良い所だって事は俺も充分分かってる。ごめんな?俺酷いヤキモチ焼きだ。」
僕はクスクス笑って、貴正を覗き込んでそっと唇を押し付けて言った。
「ううん。妬いてくれて愛されてる感じするから嬉しい…。」
すると貴正は僕のお尻をグッと掴んで掠れた声で言った。
「もっと…。奏がもっと俺にエロいキスしてくれたら、嫉妬しなくなるかも。俺のものだって教えて?」
僕は貴正の色気の増した眼差しに囚われて、ドキドキしながらもう一度貴正にキスを落とした。柔らかな感触は直ぐにぬるりとした触れ合いに変わって、少しザラついた舌を絡め合った。甘くて身体が熱くなる貴正とのキスはいつだって僕を夢中にさせる。
貴正は僕から顔を引き剥がすと、嬉しそうな顔で僕にしか言ったことのない甘い口調で囁いた。
「奏。俺とずっと一緒に居ような?俺はお前が側に居ないともう無理だから。俺は奏が側に居てくれたら何だって出来そうな気がするし、反対に奏のやりたい事何でも協力するし、応援したいからさ。」
僕は貴正の真っ直ぐな想いを聞いて感動してしまった。身体で貴正を繋ぎ止めようとした僕の無茶も、僕たちがこうなるには必要な事だったのかもしれない。
僕は貴正の首に抱きついて、少し掠れた声で言った。
「ありがとう、貴正。僕も貴正とずっと一緒に居たい。好き。大好き。」
途端にベッドにひっくり返された僕は、のし掛かって僕を見下ろす貴正の顔が赤らんでいるのを見上げた。
「俺も大好き…。くそっ、可愛すぎだろ。週末まで我慢しようと思ってたのに、ヤバい。」
そう言って目をギラつかせて自分の高まったそれを僕に押し付けた。僕はドキンとして、一気に増えた唾液をコクリと飲み込んで囁いた。
「何で我慢するの?僕もいつだって貴正が欲しいのに…。」
僕は貴正が赤い顔を寄せるのを嬉しい気持ちで待った。ああ、何だか僕の方が淫らなんじゃないかな。そう思いながら、僕はクスッと笑った。
【 完 】
***後書き***
『僕は傲慢男のセフレ』完結です!最後まで読んで頂き本当にありがとうございました♡不穏な始まりからの展開に、読者の皆さんが着いて来て下さり感謝しています♡
思わぬポンコツでアッチが下手疑惑の貴正は、いずれ本来のスパダリ振りを発揮するに違いありません。そして一途で真面目な奏が、これからその正直さでもっと貴正を振り回してくれそうです。( ^∀^)ケケケ
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