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ちゃんと守らせて 3

「ごめんね。好きって言った後にこんな怖いこと言うなって話だよね…」 橋名は首を横に振って、こちらに向き直ってくれた。 「サナギさん…俺はサナギさんに笑って欲しいって言ったけど… 無理して笑って欲しいわけじゃないです」 彼はじろ、とこちらを睨むとベッドの上を這うように沙凪に近付いてくる。 「泣きたい時にはちゃんとそうして欲しいし…嫌なら嫌って言って欲しい 俺はサナギさんが泣いても怒っても、サナギさんのことを嫌いになったりしません」 そんな風に真っ直ぐ見られると、なんだかそわそわして逃げ出したくなってしまう。 だけど沙凪は震える身体を縛り付けて彼と向き合っていた。 「サナギさんの過去は…誰がどう悪いとか…どうしたらいいのかとかは俺には分からない… 俺が聞いてもしょうがないことなのかもしれない… けど俺は…話してくれて嬉しいです」 橋名はそっと沙凪の頭を撫でてくれた。 今まで抱えていたことが溶けていくみたいで不思議だった。 沙凪は眉根を寄せながら視界が滲んでいくのを感じて、あは、と吐き出すように笑った。 「俺…Domなのに…… 橋名くんに頭撫でてもらうと…嬉しい、なぁ…」
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