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ちゃんと守らせて 2

橋名は彼とどんな話をしていたのだろうか。 思い出すとまたモヤモヤしてしまうけど、橋名はそわそわと沙凪の髪に触れてくる。 「市原常務は…、友達って言ってたけど サナギさんのこと大事に思ってるみたいだった…」 彼の少し泣きそうな顔を見上げながら、沙凪は小さく息を吐いた。 「……ゆきくんは俺のこと助けてくれたんだ… 俺が、前付き合ってた子を追い詰めちゃって…、 その子は…お前を殺して私も死ぬって言って… ゆきくんが来なかったら本当にそうなってたかもね」 「……どうしてそんなこと…」 橋名は怖々と尋ねてきて、沙凪は当時のことを思い出してしまい んー、と口を歪めた。 「…沙凪といると苦しいって言われちゃった…。 どこかに行っちゃいそうで、怖くて不安だって。 自分なりにちゃんと向き合おうとはしてたけど…やっぱり俺は逃げてたのかなぁ…分かんないけど… でも…ゆきくんがいいならそうすればって言ったら、凄く怒ってさ…」 沙凪は起き上がって、両手でぐにぐにと自分の顔をいじくり、何故か泣きそうな顔をしている橋名に微笑んだ。 「…ゆきくんは責任感じてるんだと思う。 その子が本当はどうしたかったのか、どう思ってたのかは分かんないよ。 でも、俺が追い詰めた事には間違いない… だからゆきくんと幸せになったのならよかったって思うし… ゆきくんには色々申し訳なかったなーって思うよ」 彼が橋名に何を言ったのかは分からないけど、きっと嘘は言っていないだろう。 彼は真っ当な人間で、ちゃんとしたDomで、 ケアしろと怒られたのも100%自分が悪い事だ。 沙凪は結局また自信がなくなるけど、大切にしてくれようとする橋名の気持ちも受け入れたくて どうすればいいのかわからなくなりながらも、どうにか笑顔を取り繕っていた。

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