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ちゃんと守らせて 1

俺は結局陥落して、最後の賭けに出る事にした。 つい眼で追ってしまっていた彼が声をかけてくれて、のこのこついていったのが運の尽きだったのかもしれない。 俺はずっと彼に惹かれていて、それを認めるのが怖かっただけだ。 沙凪は気怠い身体をベッドに転がしていたが、その大きな身体を縮こめ自分の眼鏡を弄っている橋名に甘えたくなって よろよろと起き上がり彼の肩に持たれかかった。 「もういいよぉ…? どうせ新しいの買わなきゃって思ってたから…」 装備したままめちゃくちゃにされたので、若干フレームが歪んでしまって一生斜めにズレてしまう眼鏡が爆誕したわけだが 橋名は責任を感じて直そうとしてくれているようだった。 「すみません…サナギさん…」 「いいってば…俺が外すの忘れてただけだしぃ」 沙凪は苦笑しながらも、邪魔したくて彼の膝の上に勝手に頭を乗せて寝転がった。 「だって眼鏡ないと橋名くんの可愛い顔がよく見えないじゃん?」 冗談っぽくいうと橋名はため息を零しながら沙凪を見下ろしてくる。 「俺のこと可愛いなんて言うのサナギさんだけですよ」 「えぇー?そうなの?」 沙凪は口を尖らせながらも、彼の頬に触れた。 「ゆきくんにまた取られたかと思って超焦ったのにぃ」 それは結構本当に焦ったのだが、橋名は複雑そうに目を細めている。

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