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白銀のえっち

 「もうっ‼白銀さんのばか‼」  目覚めた裕太は、ほっぺたを膨らませて怒っていた。再び目覚めると白銀が身体を綺麗にしてくれていた。隅から隅まで石鹸の香りがして、全身くまなくチェックされたことが更に裕太を恥ずかしくさせた。  「白銀さんは他のお客さんと違うと思ったのに・・・ ・・・嘘つきだよ」  ギロリと白銀を睨んでいるつもりの裕太だが、そんな姿も瞳がくりくりして愛らしく、白銀は思わず微笑んだ。  「笑わないで‼」   「ごめん、裕太はどうしても可愛いからね・・・ ・・・」  そして白銀は、裕太の膨らんだほっぺたを両手で優しく包み込み、『ぷしゅ』と押してほっぺたの空気を抜いた。  「だいたい、ぼくは今日自殺するつもりだったのに・・・ ・・・‼・・・ ・・・あ、あれ?今日って一体・・・ ・・・?」  「もう二日はとっくに過ぎているよ?裕太がこの部屋で目を覚ました時には、とっくに翌日だった」  「そんな・・・ ・・・‼」  裕太は自分の計画が実行出来ずに誕生日が過ぎてしまった。しかも攫われ、犯された。彼はわんわんと泣いてしまった。そんな裕太を見て、さすがの白銀も焦った。  「すまない裕太、乱暴なことをして・・・ ・・・でも、他の客とは違うよ。裕太をあの店から自由にしたかったんだ・・・ ・・・!」    白銀は裕太に借金が完済された誓約書を見せて、彼に渡した。  「う、うそ・・・ ・・・なんでこんなこと・・・ ・・・」  裕太は誓約書の内容を震える手で握りしめ、何度も確認した。  「これが僕の気持ちだよ。分かってくれたかな?」  「分かってなんて・・・ ・・・分からないよ‼」  仕方なく白銀は裕太が発作で意識を失っている間のやり取りを話した。楼主は裕太をどんな手段を使っても手放さないだろう事。ニホンオオカミの半獣の特権を使って裕太を身請けした事・・・ ・・・。  「やっぱり、ぼくがどんなに働いても、自由にしてくれる気は無かったんだね・・・ ・・・」  裕太は悲しい顔をしながら笑った。  「自由になれないのに言いなりになって働いて・・・ ・・・ぼくは穢れているよね・・・ ・・・」  裕太は小さく震えながら、ぱたぱたと涙をこぼした。白銀は指でそっと拭う。  「泣かないで、裕太。裕太は自由だ。ここから出て行って、自由に生活できる」  「・・・ ・・・えっ・・・ ・・・?」   裕太はてっきり、白銀の性奴隷として身請けされたのだと思っていたが、なんだか違うようだ。  「正直に言えば、裕太がずっとそばにいて欲しい気持ちもあるが・・・ ・・・それは裕太にとっては何の関係のない話だ。自由が一番だろ?」    「それは・・・ ・・・」  裕太は身請けしてもらった事があるので、はっきりとは言えないようだが、『自由』が良いに決まっていた。  「でも裕太は『干支シリーズ』だから、なかなか自由も危険にさらされる事が多いと思うよ。警備は私が手配してもいいけど、やはり独りの行動は心配だな。また楼主みたいな奴が襲って来るかもしれないし・・・ ・・・」  「・・・ ・・・」  裕太は考え込んでしまった。しかし、  「・・・ ・・・白銀さんも襲った・・・ ・・・」  と裕太は小声でギロリと白銀を睨みつけた。そんな無理して大人びた顔をしても、白銀を喜ばせるだけだが。  「本当にすまない、裕太・・・ ・・・可愛くて・・・ ・・・今の怒った顔も可愛くて・・・ ・・・‼」  裕太が『あ』、と声を出す前にぎゅっとぬいぐるみのように抱きしめられ、唇を塞がれた。  「んっ、んんっ、はうっ・・・ ・・・‼」  裕太は必死にもがくが離してくれないので、仕方なく頭突きをしてタックルした。油断していた白銀はハっとしたようで、  「すまない!裕太」  と顔を離した。しかし抱きしめる腕の力は弱まったものの、裕太を包み込む力は消えなかった。  「白銀さんも他のお客さんと同じなのかな・・・ ・・・」  あえて白銀の嫌がることを裕太が言うと、白銀が裕太の首に顔をうずめた。    「そんなこと言わないでくれよ・・・ ・・・。あと、呼び捨てにしてくれ」  白銀は裕太の香りを堪能し、首筋にそっとキスをした。  確かに白銀も裕太を見て襲っては来たが、裕太と繋がる時も他の客とは違い、どこか優しかった。荒々しくしながらも、どこか裕太の身体を気遣っていた。それが分かるから裕太は明らかな拒否が出来なかった。  「とにかく、裕太が出ていくにしろ、生活用品は必要だな。明日買いに行こう。洋服も何も私のお下がりってわけにもいかないからな」    「え・・・ ・・・そんな、し、白銀・・・ ・・・いいの・・・ ・・・?」  「今裕太に着てもらっている服も私が着てないものだが、ぶかぶかだろ?」  裕太は意識がぼうっとしていて余り考えていなかったが、着ている服は確かに白銀のものだった。上着だけでぶかぶかで、彼シャツの様になっていて、裕太のほっそりした脚が露わだった。そういえば・・・ ・・・と裕太は思った。白銀のシャツだけで、下着はつけていなかった。  はっとして羞恥で顔を紅くすると、白銀が察して  「裕太は下着をつけていないから、スースーしちゃうな」  と言ってシャツをたくし上げ、可愛い桃尻を揉んできた。  「ちょっと白銀・・・ ・・・!え、エッチな事しないでよ‼」  「エッチな事って?」  「ひっ・・・ ・・・!」  白銀は素早く裕太自身にまで手を這わしてきたので、裕太は頬を染めながら怒った。  「や、やめて、ぼくは愛玩動物じゃないよ・・・ ・・・‼」  「こんなに可愛い愛玩動物がいるのかな・・・ ・・・?」  「キャぁぁあ!」  白銀は半獣の性感帯である裕太の耳をしゃぶりだした。ハリネズミの半獣の耳は小さくて、しゃぶりやすい大きさだ。グチュグチュと白金が舐め続けるので、裕太はたまったものではない。  ふと、白銀のニホンオオカミの半獣の印である大きな尻尾が揺れているのが目に入った。興奮しているようで、もふもふ灰色がかった尻尾が膨張していた。裕太は思い切って白銀のもふもふ尻尾に抱きついた。  「‼」  白銀は酷く驚いて、身体をビクンビクンとのけ反らせた。  「こら、裕太・・・ ・・・」 その声は、どことなく甘く響いた。  「わぁ、もっふもっふ、気持ちいい・・・ ・・・」  そう言って、白銀の大きな耳も裕太の小さな手のひらで揉みしだいた。  「ふ、う・・・ ・・・」  白銀は感じているようで、裕太を責める手が疎かになった。裕太はにんまり微笑むと、白銀がハッとして、  「こら、裕太‼」 と頭にげんこつをくらった。  「酷いな、白銀。ぼくにはいっぱい触るのに・・・ ・・・」  「私はいいんだっ」  裕太はそんな白銀が自分より大人なはずなのに、可愛く見えた。裕太は隙を見てもふもふ尻尾に抱きついて、  「ところで、白銀は何歳なの?」 と尋ねた。白銀は尻尾から裕太を引きして、  「三十二」 と答えた。  裕太は無理矢理身体を引き離されて若干痛がりながら、    「え、じゃあ九個上か。ぼく、誕生日来ちゃったし、死にぞこなっちゃったから」  「こら。すぐ死ぬとか言うな」  裕太はメッ‼と怒られて、思わずしゅんとした。小さなハリネズミの半獣の尻尾も気持ち下がった気がした。    「分かったよ、もう死ぬ死ぬ言わないよ。もう言ってるけど」  「おい」  白銀のげんこつがまた飛んで来そうなので、裕太は逃げた。  「やっぱり、白銀は大人なんだね。当たり前だけど」  「何が当たり前なんだ?」  「だって背も高いし、顔もシュッとしてるし、太ってないし・・・ ・・・」  「それは私がタイプという事かな?」  「ちがっ・・・ ・・・‼」  また白銀は裕太にちょっかいをだしてきた。可愛い小さな突起をコリコリと転がし出した。  「ぬ、うぅ・・・ ・・・」  白銀のペースに乗せられると、とんでもないことばかりが起きる。なので、遠慮なく裕太は白銀を殴った。殴ったところで、裕太のパンチはよろよろだが。  「分かった分かった、今日はもう触らないよ」  「今日はって・・・ ・・・」  裕太はがっくりと肩を落とした。

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