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絶滅危惧種

 「わぁ〜広〜い!」  熱が下がった裕太は、都心の一等地にある白銀の職場『国立・生命の地球博物館』にやって来た。今日は白銀も休みなので案内してくれると言う。  「すごい・・・ ・・・剥製がいっぱいある・・・ ・・・」  一階のメインフロアには、絶滅した動物や絶滅危惧種の動物の剥製が展示されていた。  紅いライトが当たっているゾーンは、絶滅危惧種の動物がいて、蒼いライトが当たっているゾーンは、絶滅した動物のゾーンだった。手前が紅いエリアで、奥が蒼いエリアだった。  一般の動物のエリア抜けると、紅いゾーンと蒼いゾーンだ。剥製は少し怖いが、後世の勉強の為に必要な物でもある。しかし紅い絶滅危惧種ゾーンにハリネズミの剥製が展示されていて、何とも言えない気持ちになった。タイガのホワイトタイガーも展示されていた。ホワイトタイガーには罪はないが、タイガの顔がちらついてきたので顔をぶんぶん横にして記憶を消した。  蒼い絶滅動物のゾーンにはニホンオオカミも展示されていて、白銀はどんな気持ちで眺めているのだろうと思った。絶滅してしまうと、完全にもう二度と会えない。親と完全に会うことが出来ない裕太は、しんみりとした気持ちになった。  「白銀はさみしい?」  裕太はそっと白銀の手を握って尋ねた。ぎゅっと裕太の手を白銀は握り返す。  「前は寂しかったよ。今は裕太がいるから寂しくない」  「なっ・・・ ・・・!なんで・・・ ・・・」  裕太は喉をフシュフシュ鳴らして恥じらった。握られた手が暖かい。  「裕太といると、あったかいよ」  深い漆黒の瞳で裕太の茶色い瞳を捕らえる。不覚にも裕太はドキドキしてしまった。  ずっと手を握られたまま、裕太は館内を案内された。白銀は遺跡や美術品の修復も出来るそうだ。二階の遺跡と美術品エリアにある一般常識クイズをことごとく外した裕太はふてくされたが、カフェテリアでホットケーキを食べたら元気になった。

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